直×高しーくれっとしょた劇場
しょた前夜2・はじめてのご奉仕編

作・椎名




昨日、初めて直江が一緒に寝ようと云ってくれた。

今まで、どんなに高耶が「一緒に寝たい」と云っても、寝つくまで側にいてくれるだけで、決して一緒には寝てくれなかったのに。
直江の腕まくらは、すごく気持ちがよかった。あんまり気持ちがよくて、いつのまにか眠ってしまって──今朝、目が覚めた時。
高耶ははじめて、直江のソレがお風呂の時以外にも大きくなることを知ったのだった。

「なおえの、おふろじゃないのに、おっきくなってる!」
すると直江は苦笑して、
「コレはお風呂の時だけ、大きくなるわけじゃないんですよ」
「……そうなのか?」
「ええ。大人は、朝起きた時は大きくなってるんですよ。特に、今朝は高耶さんが隣にいて、可愛い寝顔をいっぱい見てしまいましたからね」
「??」
高耶は首をかしげた。自分が隣にいると、どうして直江のコレが大きくなるのか──直江のコレは、本当にわからないことだらけだ。

「なおえ──また、しろいのでる?」
「今は出ませんよ。うんといい子いい子してあげないとね」
「ふーん……」
何やら真剣に考え込んでいる高耶。
直江はそのあまりの可愛さに、我を忘れてブチ込みたくなるのを必死で堪える。

「参りましたね──あなたには、本当に降参ですよ」
苦笑しながら呟いた直江に、高耶は不思議そうな顔をして、
「なに、なおえ?」
「……なんでもありません。それより、今夜から少しづつ、大人の遊びを教えてあげますからね」
途端に高耶は目を輝かせて頷いた。
「いいですね──私も誰にも云いませんから、高耶さんも、この遊びのことは絶対、誰にも云ってはいけませんよ。二人だけのひみつです」
直江はそう云って、高耶の額にキスをした。

めずらしく念を押されたことで、高耶はこれは本当に本当の、ひみつの遊びなのだという期待に、嬉しくてたまらなくなった。
「わかった!ぜったい、だれにもいわない。ちかう。ゆびきり!」
そう云って、小さな指を差し出す高耶。
直江は苦笑しつつ、小さな指に自分の指をからめた。

「ゆびきりげんまん、うそついたら、はりせんぼん、のーますっ!ゆびきった」
二人仲良く歌って、二人仲良く二人だけの、ひみつの誓いを立てた──



その日の下校時間。

「高耶ぁ、何ボーッとしてんだよ。今日、お前おかしかったぞ」
同級生の成田譲が怪訝そうに云った。
「そんなことないよ」
答えた高耶は、やはりどこかうわの空である。

高耶の頭の中は、直江がこれから毎晩少しづつ教えてくれるという「大人の遊び」のことでいっぱいだった。それは好きなひと同志がするのだという。
そして、このことは二人だけのひみつ。
大好きな直江とひみつを共有した。それが高耶には嬉しくてたまらなかった。

それにしても──昨日は、本当にびっくりした。
はじめて触った直江のアレ。熱くて硬くて──キスしたら、突然しろいものが飛び散って、なんだか映画のエイリアンみたいで、ちょっと怖かった。

しろいものは、少しだけ高耶の口の中にも入ってしまった。
今まで食べたり飲んだりしたことがない、すごく変な味がした。
でも直江が「うれしかったから」出たものだとわかったら、そんなに嫌じゃない気がした。
高耶はどんなにマズくて変な味でも、あのしろいのを飲んでみたいと思った。
だって大好きな直江のものだから。
高耶は心に決めた。今日の夜、お風呂の時にさっそく頼んで飲ませてもらおう──

「高耶ぁ!!」
ハッと気がつくと、譲が怒ったように顔を覗き込んでいた。
「え……あ、ごめん」
「いったい、どうしちゃったんだよー。何かあったのか?」
「なんでもないってば」

譲はじーっと高耶の顔を見た。
去年、入学して隣の席になったのがきっかけで、二人は仲良しになった。譲は今ではすっかり高耶の保護者気分で、あれこれと世話をやいている。
高耶のことは、自分が誰よりも知っている(と、譲は思っている)。

こんな風にうわの空なんて、絶対何かあったに違いない。
「悩みがあるなら云えよな。友達だろ?」
高耶はにっこり笑って、
「うん。さんきゅ。でもほんとになんでもないんだ」
「……なら、いいけど。何かあったら云えよ」
「わかった」

譲が心配してくれるのは嬉しいけど。でも、いくら仲良しの譲にもこれだけは云えない。
直江と二人だけのひみつだから。



その夜。

昨日と同じように、二人は一緒にお風呂に入った。
気がつくと、風呂の椅子に座っている直江のモノが、また大きくなっていた。

直江が優しく云った。
「高耶さん。今日は、大人のキスを教えてあげる」
高耶はわけもわからずに頷いた。
大人のキス──いつもしている「ただいま」や「おはよう」や「おやすみ」のキスと、どう違うんだろう?

直江は高耶を抱き寄せると、小さな唇に唇を押し当てた。
「これは普通のキス。大人のキスはね──」
すると、再び押し当てられた直江の唇から、口の中に生暖かいものが入ってきた。直江の舌だ。
「んんっ?!」
驚いた高耶の後頭部を逃れられないように抑え、直江はそっと高耶の口腔を舌で犯した。
「んっ……」
いきなり激しくして、怖がらせないよう、直江は慎重に小さな舌に舌を絡め、そっと唾液を吸い上げ、こちらかも唾液を送り込んでやってから、唇を離した。

「なおえっ……」
初めて体験した大人のキスに、高耶が戸惑った声をあげた。直江は小さな体を抱きしめてやり、その背を摩ってやりながら囁く。
「大丈夫。怖くない──これが、好きなひと同志がする、大人のキスなんですよ。これで高耶さんも、大人の仲間入りですね」

大人の仲間入り。その言葉に、高耶の顔がパッと笑顔になった。
「ほんと?」
「ええ」
微笑する直江に、高耶は嬉しくなって、自分から直江の首に腕をまわしてしがみついた。
「高耶さん──もう一度、キスしてもいいですか?」
高耶はコクンと頷いた。

再び、直江の唇が押し当てられる。何度かついばむような口づけの後、ゆっくりと直江の舌が入ってきた。
「……ん、……」
今度は高耶は、自分から唇を開いてその舌を受け入れた。そういうものなのだとわかれば、ぜんぜん怖くない。元々、大好きな直江としているのだから、怖いことなどなかったのだ。
直江は口腔内で辿々しく動く幼い舌を存分に味わって、そっと唇を離した。

高耶は頬を蒸気させ、小さな胸をドキドキと喘がせている。
「可愛いですよ、高耶さん」
「なおえ……、」
「高耶さん、もっと、大人になりたい?」
頷いた高耶に、直江は微笑して、その唇に指を押しあて、
「大人はね、此処だけじゃなくて、好きなひとには、いろんなところにキスをするんですよ」
「?」
それはまた、どういうことなのだろうと、高耶は首をかしげた。
「してほしい?」
「うん」
すると、直江は高耶の耳元にキスをした。一瞬、くすぐったいような、変な感じがして、高耶はビクンと首を竦めた。直江は、そのまま押し当てた唇を首筋へとずらして行く。
「なおえ──くすぐった……あっ!」
ふいに、胸の小さな突起を吸われて、高耶は思わず声をあげていた。
「なおっ、」
直江は素直に唇を離し、優しくその髪を撫でながら、
「大丈夫だから、少し我慢して、ね?」
「うん……、」
直江はもう一度、高耶の小さな胸の突起を口に含んだ。そして、もう片方を指でつまんで揉むようにしてやる。
「あっ……、なお、」
「何?」
見れば、幼い高耶の果実が硬くなっていた。やはり、子供でも胸へのキスは感じるのだろう。高耶が泣きそうな顔をしているので、直江は素直に唇を離すと、安心させるように抱きしめてやった。

「──此処にキスされるの、嫌?」
てっきり、もう嫌だと云うかと思うと、以外にも高耶は首を振った。
「いやじゃない──」
そして小声で云った。なおえだから、と。
あまりの可愛さに、今直ぐ押し倒したくなるのを、直江は必死で堪える。高耶はなおも小声で云った。
「いやじゃないけど──でも──」
「でも、何?」
直江が優しく問いかけると、高耶はひどく困ったような顔をした。
「なんか、へんなかんじ……」

子供の辞書に「イイ」とか「感じる」と云う文字はない(あってたまるか)。幼い高耶には、はじめて感じたその感覚を「へんなかんじ」としか云い現すことができなかった。
直江はにっこり笑って、
「それでいいんですよ」
「??」
「大人もこうされると、みんな変な感じになるんですよ。そう感じるのが当たり前なんです。でも、その変な感じのことを、大人は『気持ちいい』って云うんですよ」
高耶は神妙な顔をした。
『へんな感じ』なのがどうして大人は『気持ちいい』のか、考え込んでいるらしい。
しばらくして、小声で「……へんなの」と云った。
幼い高耶には、まだ到底わからないのだろう(当たり前だっι)
直江は高耶を抱き寄せ、
「今はわからなくても、高耶さんも、もう少し大きくなったらわかります」
「ふーん」

大人の世界はわからないことだらけだ。わからないと云えば直江のコレも……
「そうだっ!」
突然、高耶が大きな声を出したので、直江は驚いて高耶を覗き込んだ。
「ど、どうしたんですか?」
「なおえの……いま、またいい子いい子してあげたら、しろいのでる?」
何を云い出すのかと思ったら──直江は苦笑して、
「ええ……あなたが、うんといい子いい子してくれればね」
「あのしろいの……のんじゃだめ?」
「たっ、高耶さ……、」
とんでもないことを云い出した高耶に、直江は面喰らったが、高耶は真剣だった。
「しろいのって、なおえがうれしいからでるんだよな?きのう、そういった……ちがうのか?」
「そ、それはそうですがっ……、おいしくはありませんよ」
「いい。なおえがうれしくてでるんだったら、のみたい……だめか?」

幼くても真摯な瞳に見つめられ、直江は降参と云うように苦笑すると、愛しいひとの前髪に口づけた。
「あなたには……本当にかないませんよ」




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