「untitled」2







薬剤による深い眠りから目覚めた時、高耶は己の置かれた状況を、嫌でもその身に思い知らされ、愕然とした。

衣服も纏わず、後ろ手に戒められている両腕、何かを噛まされて言葉を発することのできない唇、霧のように白く霞み、何も捕えることのできない視界。


ベッド脇で、見知らぬ男が己の一挙一動を凝視しているとも知らず、パニック状態の高耶は必死に、腕の戒めを解こうと試みた。

だが、もがけばもがくほど、手錠か何かの金属の輪が、背後に回されている両手首に食い込んで、ビクともしない。

「ウウッ……クッ、」
本能的な恐怖から、眦に涙が溢れ、口枷を噛まされた喉奥からくぐもったうめきが零れた。

高耶が眠っている間に、密かに用いた点眼麻酔薬が効果を発揮しているのを確かめ、男は満足げに微笑みながら、ゆっくりと歩を進める。

「―――!」
間近でひとの蠢く気配を感じ、驚いてもがくのをやめた体が、ギクリと強張った。



「……気分はいかがですか?」
穏やかな男の声がした。

「……そんなに、無闇に暴れるものではありませんよ。怪我をしてしまいますよ?」
「―――ッ」
警戒を露にしながらも、高耶は不自由な上体を起こして、声のする方に眼を向けた。
だが、やはり視界に、そこにいるはずの男の姿を捕えることはできなかった。

怯えきった仔猫のように、全身を恐怖に竦ませて、見えない眼を泳がせているいとしいひと。
「高耶さん……」
甘やかな声で名前を呼ばれて、高耶の背がゾクッと震えた。

この男は、自分の名を知っている。
それにこの声。何処かで聞いたことがある。
だが、誰なのか思い出せない―――


男の手が、前触れなく首筋に触れる。
「!」
性感を煽るような、淫らな手つきで撫で上げられて、驚いた高耶は声にならない悲鳴をあげて、逃れようと身を捩った。

「怖がらないで」
男はできる限り優しく、子供を諭すように囁きながら、ゆっくりとベッドに乗り上げる。

細い体を覆っていた、邪魔なシーツを取り払い、露になった肢体に悠々と覆い被さると、二人分の体重を受けたベッドが、ギィッと嫌な音を立てた。

「ンンッ、ン―――!」
羞恥と屈辱と本能的な恐怖から、激しくもがく体を宥めるように、男はきつく抱き込み、根気よく繰り返す。

「しー、静かに。大丈夫だから落ちついて」
だが、どれほど言葉を連ねても、パニック状態に陥っている高耶の耳には届かなかった。

いとしいひとを、これ以上怯えさせたくはないのだが、いつまでもこんな風に暴れていては、手錠の輪や鎖で両手首を怪我してしまう。仕方なく、男はジャケットに忍ばせていたバタフライナイフを取り出し、暴れる頬に押しつけた。

「―――!」
もがいていた体が、たちまち、ビクッと凍りつく。
万一にも傷つけないよう、柄の部分をそれらしくあてがっただけだが、一時的に視力を失くしている今の高耶にはそれで充分だった。

冷たい金属の感触から、すぐにそれが凶器であることを悟ったのだろう、抵抗をやめ、小刻みに震えている獲物の頬を、男はいとおしげに撫でた。

「いい子ですね、高耶さん。そう……そうやって、いい子でいれば、ひどいことは何もしない。あなたに危害を加えるつもりはありません。私の云うことが、わかりますね?」

「……」
口枷を噛まされている高耶に答えられるはずもないが、今のこの状態で、これ以上、男を煽るのはよくないと判断したのだろう。

ようやく、少し冷静さを取り戻した高耶が、腕の中でかすかに頷くのを見て、男はうっとりと微笑んだ。

「急に眼が見えなくなって、怖かったでしょう……すみませんでした。悪いとは思ったのですが、眠っている間に、点眼用の麻酔を使わせて頂きました。今はまだ、あなたに顔を見られたくないのでね……心配しなくても大丈夫ですよ。時間が経てば、元通り、ちゃんと見えるようになりますよ」



高耶は男の言葉を反芻した。
時間が経てば見えるようになる――正直、安堵したものの、やはり、この声には、確かに聞き覚えがあると思った。

それに、顔を見られたくないと云うことは、自分は何処かでこの男と会っている、と云うことだろうか?
だが、どうしても、男が誰なのか思い出せない。


その時、聞きなれた携帯の着信音が鳴った。
指定着信で、電話に出なくとも、実家にいる妹の美弥からだとわかる。
「……ッ」
数回のコールで電話は切れたが、高耶の携帯を我が物のように手にした男は、楽しげに笑って、
「美弥さんは、確かこの春、高校に入学されたばかりでしたね―――さっきから、何通かメールが届いていますよ。あなたからの返信が遅いので、心配してかけてきたようです。兄思いの優しい妹さんですね」

「―――!」
その言葉に、高耶の身が強張った。
(こいつ、美弥を知ってるのか!?)

最初は強盗か、ただの変態ヤローだと思ったのだが、もしかしたら、この男は自分だけでなく美弥にまで……すると、まるで高耶の心を読んだかのように、男は笑った。

「安心して下さい。あなたの大事な家族に、何かしようなんて思っていませんよ。とは言っても、今後のあなたの行動次第では、どうなるかわかりませんが」

聞き捨てならない言葉に、高耶が端正な顔を歪めると、男はクスクスと笑って、
「そんな顔をしないで。さっきも云ったでしょう?いい子でいてくれれば、ひどいことはしないと。私が興味があるのはあなたで、あなたの家族じゃない。―――でも、もしあなたが何か、馬鹿なことを考えたり、おいたをしたらその時は……わかっていますね?」

「………」
子供をあやすような優しい口調ではあるが、あきらかな脅迫が、より屈辱と恐怖を煽る。
男は、強張る頬をいとおしげに撫でながら、尚も言葉を紡いだ。

「私は、あなたのことは、なんだって知っていますよ。あなたがまだ高校生の頃から、あなただけを見てきたのですから――私の言葉が信じられませんか?なら、そう思っていればいい。けれど、あなたが家族やお友達を大切だと思うなら、私から逃げようだとか、私の素性を調べようとか、馬鹿なことは考えない方がいい」

「―――!」
その言葉に、心当たりがあったのだろう、組み敷かれた細い体が、サッと強張った。


***


いつから始まったのか、今となっては覚えていないが、高校時代、高耶の行く先々に影のように付き纏っていた、誰ともわからぬ視線。

確証はないものの、『見られている』と云うその感覚は、彼を長い間、苦しめ続けた。

だが、就職の為に上京してからは、新たな生活環境に慣れるのに必死なせいか、見られているあの感覚は嘘のようにピタリと止んだ。

本当は、彼自身がもう終わったのだと信じたいだけで、高耶を追う影はすぐ側まで迫っていたのだが―――

(まさか……この男が?)
自分に向けて、見えない眼を見開く高耶に、男はうっとりと微笑む。

何故、自分にそこまで執着するのかわからないが、男の言葉が事実なら、この男はあきらかに異常だ。他人をそこまで追いまわすなんて、どうかしている。

今回の行動と云い、本当に、自分の行動次第では、美弥に危害が及ぶかもしれない。

すると、またしても高耶の心を読んだかのように、男は言った。

「そうですよ――高耶さん。あなたは物分りがいい。どうせ、もう逃げられはしないのですから、あなたの為にも、美弥さんの為にも、私を失望させることだけはしないで下さいね。そうすれば、何も心配はいらない」

だが、高耶の表情は、おまえの言葉など信じられないといわんばかりだった。

男は、宥めるように笑って、
「そんな眼をして……今はまだ、私を信じられないのも無理はないかもしれませんが……私はあなたを裏切るような真似はしません。あなたさえいい子でいてくれたら、あなたの家族には手を出さない。誓いますよ」


この男は危険だと、本能が告げている。
本来、気が強く、プライドの高い高耶は、理不尽な脅しや脅迫に、あっさり屈してしまうような人間ではなかったが、男の真意がわからない以上、迂闊に煽って、自ら家族を危険に晒すような真似だけは、絶対に避けなければならなかった。

今は観念して大人しく従うフリをするしかない。
高耶は自分にそう、言い聞かせた。
だが、必ず、こいつの素性を暴いて、とっ捕まえてやる――!


長い間、高耶だけを見てきた男は、彼の性格も気性も知り尽くしている。
逃がしはしないと云っているのに。
(―――困ったひとだ)

男は苦笑しつつ、いとしいひとが抱いているささやかな抵抗にわざと気づかぬふりをしながら、唇に噛ませている皮製の枷に手をかけた。

「どうやら、私の言葉を理解して下さったようですから、ご褒美に、これを外してあげますよ」



「………ッ、」
頑丈な留め具が外され、噛まされていた枷が外されると、長時間の拘束をようやく解かれた唇が、苦しげに喘ぐ。
だが、次の瞬間には男の唇が新たな枷となって、形のよい唇を容赦なく塞いだ。

「―――!」
見えない瞳が、驚きに見開かれる。
「何す……!ンンッ……!」
逃れようとする顎を押さえ、男はいとしい唇に尚も深深と口づける。

実は意識のない間、すでにその唇は、男によって幾度となく奪われていたのだが、高耶にとっては、これが正真正銘、他人と交わしたはじめてのキスだった。

「ンン……ン……」
強引に差し込まれた舌先が歯列をなぞり、受け入れるよう促すが、高耶は歯を食いしばっていて決して受け入れようとしない。

男は片手を伸ばして、小さくなっている若い楔を無造作に握り込んだ。
「やっ……!」
前触れなく、急所を掴まれて、男の腕の中で細い体がビクンと跳ねる。
そのまま、ゆるゆると扱かれて、制止を求めようと、たまらず開いた唇に、容赦なく男の舌が侵入した。


男の身で男に組み敷かれ、ペニスを弄ばれながらの、淫らな口づけ。
高耶の眦から、羞恥と屈辱の涙が頬を伝う。

甘い舌を散々に貪って、ようやく唇を離した男は、真赤になって震えている首筋を痕がつくほどきつく吸い上げながら囁いた。

「思ったとおり、あなたは、とても感じやすい体をしている……かわいいですよ」
揶揄るように云われて、胸の飾りの片方に口づけられて、細い体がビクンと跳ねる。

「やめ、……ッ、」
「男のくせに。ココ……そんなに感じるの?」
男はクスクスと笑いながら、唇に含んだそれに軽く歯を立て、甘い痛みを与えた後、癒すように吸い上げる。

「……アアッ……」
愛撫に耐えかねて、仰のく首筋。
感じやすい箇所を散々に弄び、耳朶に舌を差し入れるようにして、男は淫らに囁く。

「ひとの手で、ぼうやを弄られるのははじめてでしょう。ほら、もう、こんなになってる……気持ちいい?」
「や、めろっ………アッ……クッ……」
同性ならではの容赦のない責めに、若い楔は高耶の意志と関係なく、すぐにその先端から透明な蜜を零しはじめた。

止めど無く溢れる先走りの蜜は、撓る幹を伝い、やがて、隠されたピンク色の蕾までをも濡らす。
羞恥と屈辱に見えない瞳を潤ませ、堕ちまいと必死に制止を求める高耶に、男は咎めるように云った。
「……いいくせに」

抵抗を奪う形で覆い被さっていた男が身を起こし、一瞬、開放されたものの、両腕を戒められた上、視力を奪われている今の高耶には、男の動きが読めない。

次の瞬間には、強引に両膝を割り開かれ、蜜を零している楔の先端を、淫らな舌先で舐め上げられていた。

「―――!」
生暖かく、ざらりとした生き物のような舌が、敏感な鈴口を辿る。たちまち甘い悲鳴を上げて、細い体がビクンと撓った。

「あなたのは、とっても甘い……」
熱い囁きが、より羞恥を煽る。新たな刺激を知って、はちきれんばかりに撓り、透明な蜜を零し続ける若い楔を、男はいとおしげに唇に含んだ。

「ヒッ――」
初めて与えられる快楽に、感じすぎるのか、高耶があられもない悲鳴を上げる。
男は容赦なく、今度は喉奥まで銜え込んで、きつく上下に吸いあげた。

「やだっ……や……はな、せ……っ、」
高耶は髪を振り乱して身悶える。
続けられれば、いつか男の口に出してしまう。
甘い責めから、どうにか逃れようともがく体を叱咤するように、男は敏感な先端の割れ目に、軽く爪を食い込ませた。

「アアッ……!」
たちまち悲鳴を上げる体に、男は諭すように云った。
「どうして逃げようとするの?俺にされて、死ぬほど気持ちがいいくせに」
「ちが……っ、アアッ!」
今度は強く根元を握り込まれて、高耶はヒッと息を止める。

「嘘をついては駄目ですよ。素直になれない悪い子には、容赦なくお仕置きしますから、覚悟してくださいね?それとも……優しくされるより、ひどくされたいの?」
「ふ……ざけんなっ……!」
悔し涙を零しながらも、いまだ悪態をつく高耶に、男は心底楽しげに笑った。

「いつまでそうして強がっていられるか、楽しみですよ。これから、時間をかけて、たっぷりと躾けてあげますから、楽しみにしていて下さいね。ああ、それより」

男は若い楔を尚も残酷に弄びながら、
「あなたのぼうやは、そろそろ限界のようですよ。こんなにパンパンに撓って、しろいのを出したがってる」
「………ッ、」
あなたのしろいのは、どんな味がするんでしょうね?

淫らな囁きとともに、男は容赦なく、再び高耶の股間に顔を埋めた。
「やだっ……や……アアッ……」
堪えようとする射精を促すかのように、撓る幹を喉奥まで含み、唇と舌を使ってきつく上下に吸い上げる。
容赦のない責めに、高耶は歯を食いしばって尚も必死に耐えたが、もはや限界だった。


切れるほど噛み締められていた唇が、絶望に開かれる。
「も……、アアッ……」
「――我慢しないで。好きなだけ出せばいい」

甘く残酷な囁き。
男の口腔に囚われた若い楔が、遂に堕ちる。
「―――クッ……だ、めだ……出る……ッ、出……」
いとしいひとが上げたその声は、男の背筋をゾクッとさせた。

「ア――……!」
切ない悲鳴とともに、形のよい顎が突き上げられ、弾けた楔からしろいものが迸る。

いとしいひとのその瞬間の顔を、しっかりと焼き付けた男は、甘い蜜をたっぷりと含んだ唇を、羞恥とショックで半ば放心しかけている唇に強引に押し当てた。

「や……ッ、」
己が吐き出した欲望を、口移しで味わわされて、たちまち端正な顔が嫌悪に歪む。
カッと顔を赤くして、背ける頬に、男は残酷に微笑んだ。

「甘いでしょう……はじめて男に嬲られて、出してしまったあなたの味ですよ。この唇で、覚えておくといい」

「……ッ、」
指先で唇をなぞられて、屈辱に、悔し涙が溢れる。
男は、その涙すら、嫌がる頬を押さえつけ、己の唇で啜い、たっぷりと味わった。


己の泣き顔が、より男の嗜虐をより煽るだけとも気づかず、高耶は見えない眼で、のしかかっている男を睨みつける。

「これ、で……満足したかよっ……この、変態野郎ッ……!」
精一杯の呪詛を込めた呟きにも、無論、男は動じるどころか、楽しそうに笑った。

「お楽しみはこれからだというのに、いったい何を云っているんですか?それに、変態だなんて、随分、ひどい云われようですね」

―――ああ、そういえば、まだ名前を名乗っていませんでしたねと、男は、クスクスと笑って、
「『直江』ですよ。私のことはこれから、直江と呼んで下さい」
「誰がっ……呼ぶかよっ……!」

こんな状態でも、まだ憎まれ口を聞く高耶がいとおしく、優しいが、妙に自信たっぷりの口調で、男は告げた。

「あなたはすぐに、自ら俺の名を呼び、俺を求めて泣くようになる。俺がいないと駄目な体に、ちゃんと躾けてあげますよ」



熱く囁いて、男は再び、細い体を組み敷きにかかった。
「……はな、せっ……!」

男が、それまでと、明かに違う行為に及ぼうとしていることを、その身で悟った高耶が、本能的な怯えから、哀れにもがく。
「暴れないで。大切なあなたに、怪我をさせたくありません」

強引にうつ伏せにされ、不意に手錠の片方が外される。
一瞬、腕の自由を取り戻したものの、押さえ込もうとする男の力は想像以上に強かった。

抵抗も空しく、高耶はシーツに頬と肩と膝をつき、獣のように高々と腰を突き出す淫らな姿勢を強いられ、両膝裏で再び、両手首を戒められてしまった。


「―――いい格好ですね。高耶さん」
行為をねだるような姿勢を、自ら強いておきながら、男はいとしいひとを言葉で嬲る。

「……ッ、」
おそらく、背後に回った男が、間近で覗き込んでいるに違いない。
そこに、熱い吐息と淫らな視線をはっきりと感じて、羞恥と屈辱で見えない視界が真赤に染まった。

男は、感心したように、
「高耶さんは、男のくせに体毛が薄いんですねえ。ほら……かわいらしい、下のお口が丸見えですよ」
会陰を指先でツーッとなぞられて、あられもない悲鳴を上げた背が、ビクンと跳ねる。

「あなただって、自分のこんなところ、見たことないでしょう。視力が戻ったら、自分がどれだけ恥かしい格好をしていたか、その眼で確かめるといい」

男が囁くのと同時に、背後でカシャッという人工的な音が響く。
それが、カメラのシャッターを切る音だと云うのは、もはや云われずとも明白だった。

「撮るなぁっ……!」
悲鳴のような声が上がったが、男は無論、容赦しない。

本当は、写真など撮らなくても、ベッドの周囲に設置した数台のビデオカメラが、高耶の痴態を一分一秒、記録し続けているのだが、男はそのことを、今はあえて告げるつもりはなかった。


どうやら男が手にしているのはポラロイドらしかった。
カメラから抜き去った印画紙を仰ぎ、浮かび上がった映像を確かめた男が、より羞恥を煽るようにクスクスと笑う。

「とっても綺麗に撮れていますよ。楽しみにしていて下さいね」
「……ッ、」
唇を切れるほど噛み締め、小刻みに身を震わせているいとしいひとに、男はようやくカメラを置くと、うっとりと微笑む。

「まずは、ココを馴らさないとね……」
熱く囁いて、無防備に晒されている蕾の淵を、徐に指でなぞる。
「ヒッ、」
たちまち、高耶が声にならない悲鳴をあげたが、男は躊躇うことなく、初めてひとの手で触れられ、ピクピクと震えているピンク色の蕾に、唇を寄せていった。

「―――ッ!」
自分の体の、あんなところに口づけられている――限界を超えた羞恥から、高耶はパニックに陥った。

「やだっ……や……アアッ……!」
窪みにぴたりと密着した舌が、生き物のように這い回る。

逃れようとする腰を抱き込み、男は尚も尖らせた舌先で、固く閉じた蕾をこじ開けようとする。

上の唇にされるのと同じ激しさで口づけられ、皺の一つ一つを丹念に舐め上げられ。そこを唇で愛される間中、高耶はあられもない声を上げ続けた。