ギャグです……念の為(^^;)
714&417なんちゃってリレー小説
「しーくれっと襲い受劇場 前編」
CAST ラチされた攻(笑)直江信綱
ラチした受(笑) 仰木高耶by 714
見覚えのない天井──。
粗末なパイプベッドで直江は目覚めた。
コンクリートの壁に四方を囲まれた、狭く殺風景なその部屋には窓がなく、今にも切れてしまいそうな電球がひとつ灯っているだけで、ひどく薄暗い。
(ここは何処だ?)
朦朧とした頭でそう思った時、ハッとなった。曖昧だった記憶が一気にはっきりしてくる。
あのひとと待ち合わせ、彼の好みそうな、裏通りの、小さいがくつろげる和食店を選んで、二人だけで食事をした──だが、その後の記憶がない。
(高耶さん──!)
己の置かれた状況より、高耶の身を案じた男が咄嗟に起きあがろうとしたが、両腕を頭上で戒められていて動けない。直江は眼を閉じると、力で戒めを外そうと試みた。
どれほど頑丈な枷であっても、直江のように特殊な『力』を持つ者にとっては、引きちぎることは容易だ。
だが、なぜか思念がまったく形にならず、手錠型の枷はビクともしなかった。
(霊枷か……!)
ギリ…、と奥歯を噛み締める。
霊枷を使うと云うことは、敵は自分達の素性を知っている。
あのひとは、無事だろうか。
織田か武田か──相手が誰かはわからないが、いずれにしても、一刻も早くここから抜け出し、高耶を探さなけれはならない。その時、部屋の外から靴音が近づいてくるのに気付いて、直江はハッと息を潜めた。
男の視線は、この部屋から唯一の出口である、ベッド後方の黒い扉に集中する。
ギィ……と云う音とともに扉が開き、現れたのは、以外な人物だった。
「──眼が覚めたか?」
「た……高耶さん……!?」
信じられない展開に、直江は唖然となった。
まさかと思ったが、正真正銘、男が四百年もの間、焦がれてやまない、上杉景虎こと仰木高耶が、目の前に立っている。
「これは……あなたが?」
男が、この状況を示して問いかけると、高耶は不遜な笑を浮かべ、
「相手がオレでホッとしたか?だが、安心するのはまだ早いかもしれないぜ?」
「高耶さん……?」
「おまえ。いつも、いつも、このサイトじゃ(笑;)オレをラチって閉じ込めて、好き放題やってるよなあ?」
高耶は横たわる男の上に乱暴に乗り上げ、襟元の黒いネクタイを無造作に掴むと、こちらへと引き寄せた。
二人分の体重を受けて、粗末なパイプベッドがギィ、と軋む。
野生の獣のような、あざやかな身のこなしに、思わず釘づけになるが、この状況ではさすがに見蕩れているわけにはいかない。
「このサイト?ラチ?いったい……何を云っているんです;」>(笑
高耶の云う言葉の意味がわからず、直江は動揺したように問いかけたが、高耶はそれには答えず、逆に男に向かって問いかけてきた。「直江。……お前の主は、誰だ?」
男を引きつけてやまない、きつい虎の眼が、間近でスッと細められる。
「……そんなこと。──四百年もの間、あなただけに身も心も捧げてきたこの男の口から、今更云わせるんですか。ひどいひとですね」
すると、高耶はクックッと笑って、
「そうか。なら、たまにはいいよな?」
「な、何をです」
いつもとはまったく違う高耶の様子に、さすがの男の声も上ずった。
いったい、このひとはどうしてしまったのか──大切な高耶の食生活には常に気を配っている直江だったが、昨夜の和食店で、何か悪いものにでもあたってしまったのではないか。
焦る男に、高耶はその端正な顔を近づけて、熱く囁いた。「やりたいんだよ、おまえと。オレだって男だぜ?……オレが欲情しちゃ悪ぃかよ?」
「たか……ッ!」
グッとネクタイを掴まれ、引き寄せられた唇に、荒荒しく口づけられる。同時に、何かの錠剤を口移しで飲み込まされて、男は鳶色の瞳を見開いた。
「───!」
高耶から、こんな風に口づけられるなど、滅多にない。驚いた男の喉がごくりと動き、確かに錠剤を嚥下したことを確かめて、高耶はようやく唇を放した。「───何を飲ませたんです」
「……さあな」
口端を歪めるように笑って、高耶は直江のスラックスのジッパーに手をかける。
「高耶さ……!」
焦った男が自分の名を呼ぶのも構わず、高耶は下着の合わせから、目的のモノを無造作に掴んで取り出すと、躊躇いもせずに唇に含んだ。
「───ッ、」
前触れなく、最愛のひとの熱い口腔に含まれて、男は思わず息を飲む。
高耶が己の欲求を満たす玩具を得る為の、荒荒しいその口淫は、甘い奉仕とは程遠い。
獣のような激しさで、きつく上下に吸い上げられて、いとしいひとの唇の中で、直江のモノは見る間に容量を増したが、乱暴な行為(それ)に、快楽よりも苦痛を感じて、たまらず霊枷の鎖を握りしめた男の唇から、声にならないうめきが零れた。
「…クッ、……高……ッ、」
いつも自分を欲望のまま貪る男が、堪え切れずに上げたその声は、男の股間に顔を埋める獣の背をゾクッとさせた。
(おまえは……オレのものだ)
いつも男が高耶に対して抱いているより、遥かに激しい征服欲と独占欲。
日頃、表に出すことのないその感情を隠しもせずに、高耶は男のモノを尚も荒荒しく吸い上げる。
やがて、じわっと口腔内ににがいものを感じて、高耶はようやく唇を放した。
いつも自分を貫く熱く固い凶器の先端から、先走りの透明な液が滲み出ている。
鳶色の双眸を見つめながら、尖らせた舌先でそれを霞めるように舐め取ると、囚われた男の腰が、ゾクリと震えた。
その気になれば、手折れるほどに細い体で、囚われの男を煽る、傲慢な支配者。
男の眼が、スッと細められた。
「……こんなことをして。───自分が何をしているのか、わかっているんですか?」
「───だったら、何だ?おまえはオレのものだ。そうだろう?」
鳶色の瞳と、高耶の虎の眼がかち合う。一時は本気で、その身を案じたのだ。今回のこれは、おいたとしては度を越えている。
だが、同時に焦がれてやまないこのひとが、こんなにも己を欲しているという眩暈のするような現実に、鳥肌の立つほどの歓喜を押さえつつ、男は告げた。
「高耶さん。あなたをこんなにも愛している、大人をからかうとどうなるか……後でたっぷりと教えてあげますよ」