夜ラチ2003
第五夜


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黒417



「やだっ……やめ……」
哀願も虚しく、媚薬に塗れた男の指が、昨夜、破瓜されて傷ついた箇所に容赦なく押し当てられた。
「やっ……!」
これからされることへの恐怖と嫌悪で竦みあがる体に、男はなだめるように微笑む。

「そんなに震えて……何が怖いの?このお薬は怖いことはなくて、うんと気持ちよくなれるお薬だってことは、あなただってわかっているでしょう?」
囁きとともに男は押し当てた指先に力を込める。
「やだ……や……ア!」
高耶がどんなに拒絶しようとも、媚薬に塗れた男の指は容赦なく体内に侵入してきて、ズブズブと根元まで沈んだ。
悲鳴を上げて仰け反る体をうっとりと見下ろしながら、男は熱い襞に丹念に媚薬を塗り込める。
「痛い……ッ、やめ……」
身を捩り、なんとか逃れようとする体を優しく叱咤しながら、男は一度指を引き抜いて、今度は二本の指にたっぷり薬を取ると、再びヒクつく蕾に強引に飲み込ませた。

「ひいっ……!クッ……ア……っ、」
ゼリー状の媚薬は最初は冷たく感じるが、少しづつ灼熱の熱さと痒みに変わっていく。
「ンン……う……あ……」
陵辱の痕がくっきりと残る薄い胸を激しく喘がせ、高耶は体内で蠢く指の感触を必死で堪える。時折洩れる堪えきれないうめきに、切ない色が滲むのに、そう時間はかからなかった。




最初にお仕置きだと宣言した通り、男は必要以上に高耶を高めるような出し入れや刺激はしなかった。
いとしい体に狂うほど大量の媚薬を塗り込め終わると、男はあっけなく高耶から指を引き抜いて、ベッドから下りてしまった。

「……ッや、あ……」
手脚を戒められたまま、一人ベッドに残された体が震えている。
凄まじい痛痒感がじわじわとそこから込み上げて、涙に濡れた瞳が絶望に見開かれる。
部屋の隅に設置されたガラスで区切られたバスルームで媚薬に塗れた手を洗い、戻ってきた男は、細い腰がおすおずと動きはじめているのを見逃さなかった。

ベッドに優雅に腰掛けて、男は長い指先で乱れた前髪をいとおしげに梳いてやりながら、
「……効いてきたようですね……もう、こんなに腰が動いてる。欲しくなってきたんでしょう?……でも、すぐにはあげませんよ。これはお仕置きなんですから」
「……ち、きしょ……ッ」
楽しげな声に、羞恥と屈辱の涙をぼろぼろと零しながら、高耶は唇を切れるほど噛み締める。
「駄目ですよ……そんな風にしたら、唇を噛み切ってしまいますよ」
男は諭すように云って、皮のベルトとマウスピースが一体になったあやしげな口枷を取り出した。
「ほら、お口を開けて」
「やめっ…!」
制止の声も虚しく、逃れようとする顎が押さえつけられ、開いた唇にマウスピースが押し込まれた。そのまま、外れないようにベルトで固定されてしまう。
「ン……クッ……」
更に男は、カートから目隠しを取りあげると、高耶の目を覆ってしまった。
手脚の自由も、視界も声も奪われて、込み上げる灼熱の痛痒感になす術なく身悶える高耶の耳元に、男が囁く。
「あなたはどうしてもしらを切りたいようだから、思い出させてあげる。昨日、自分が俺を銜えて、何を叫んでどんな風にイったか……しっかりと思い出して下さいね」

そうして、更に両耳にヘッドフォンがつけられ、昨夜の狂乱の様子が大音量で飛び込んできて、高耶は声にならない悲鳴を上げた。



とってもいい音で取れているでしょう?
愛しているからこそ、躾は厳しくしないとね。
男は額に口づけた。







声にならない啜り泣きをうっとりと聞きながら、男はソファに腰を下ろして、テレビモニターに見入っていた。
あいかわらず、どのテレビ局も高耶失踪のニュースを伝えている。
高耶が通っていた高校や、自宅のある団地が次々と映し出され、高耶と仲が良かったと云う友人のインタビューなども流れていた。
高耶のバイト先だった喫茶店の前で、報道の腕章をつけた女性レポーターが、神妙な表情で告げる。
『……仰木君は昨夜、夜10時にこちらの喫茶店でアルバイトを終えて、店を出た直後に足取りが途絶えています。学校でも家でも特に変わった様子はなく、家出の可能性もないことから、警察は仰木君がアルバイト帰りに、なんらかの事件に巻き込まれた可能性が高いと見て公開捜査に踏み切りました……』

(高耶さん……あなたを探していますよ……あなたの今の姿を見せてあげたら、みんなはどう思うでしょうね?)
男は楽しげに微笑んで、ベッドの上で哀れに身悶えるいとしいひとに目を向けた。

四肢の自由を奪われ、マウスピースで唇を大きく開かされたままの高耶は、まるで直江の欲望を処理する為だけにつくられた、淫らな人形のようだ。
(高耶さん……)
本当に、このひとはなんて淫らでなんて美しいのだろう。
誰もがこのひとのこんな姿を見れば、自慰をはじめずにいられないほど。
「……ンンッ……グッ……」
高耶は狂ったように、唯一、自由になる腰をシーツに押しつけては、ひっきりなしに声にならない啜り泣きを漏らす。どんなに腰を押し付けても気休めにもならないが、そうせずにはいられないほど、高耶は追いつめられていた。



聞きたくなくても、両耳に飛び込んでくる自分の喘ぎは止まらない。
身も心も男の所有物になると云う、泣きながらの「誓いの言葉」。
男がはじめて、自分の体を割って入ってきたあの時の悲鳴。
男が自分の体を出入りするくちゅくちゅと云う淫らな音。
高耶さん……気持ちイイの?
淫らな囁きに、もっとほしいと泣きながら行為をねだる声。
あられもなく男の名を叫んで、果てる自分。



薬を塗り込められた秘所は、凄まじい熱さと痒みでもはや限界に達し、直腸から強力な催淫剤を吸収したことで、触れてもいないのに高耶のペニスは腹につくほど撓りかえって、先端には透明な蜜まで滲んでいる。




救いを求めるように、ひっきりなしに零れる声にならない啜り泣き。
そろそろ、許してあげましょうか。

男はゆっくりと立ちあがって、ベッドに近づくと身悶える体からヘッドフォンを取り上げた。その途端、細い体がビクンと撓る。すぐにマウスピースの奥から許しを乞う様なうめきが洩れた。
「ンーッ、ンーッ!」
視界を覆っていた目隠しが取り去られると、泣きすぎて真赤になった目で、必死に許しを求めてくる。飲み込むこともできず、開かされたままの口端を伝う銀の糸を指先で拭ってやりながら、男が優しい声で囁いた。
「……反省しましたか?おいたをして悪かったと思っていますか?」
「ンン……ッ」
高耶はぼろぼろと涙を零しながら、必死に頷く。
今、この状態で男を怒らせて、再び放置されたらと云う恐怖と、限界を超えた飢えが高耶からプライドも何もかもを奪っていた。
男は尚も諭すように、
「あなたはもう、とっくにあなたのものではないんです。あなたのおうちはここだし、あなたは私のものなんですよ」
そんな理不尽な言葉にも、反論する術もなく泣きながらコクコクと頷く高耶に、
「……もし、今度おいたをしたら」
と男は徐に高耶に向けて、ポラロイドカメラのシャッターを切った。
突然、焚かれたフラッシュに、一瞬、ビクッと震える体。
あられもない写真を目の前にちらつかせながら、男は容赦なく告げる。
「今度、おいたをしたら……あなたの家族やお友達中に、この写真をばらまきますよ」
恐ろしい言葉に、高耶はぼろぼろと泣きながら、必死に嫌々をした。
男は目を細め、触れるほど近くで愛しい泣き顔を覗き込むと、優しい声で囁いた。
「これから、私の云うことはなんでも聞いて、私以外のことは何も考えないで……わかりましたね?」


この狂った男から逃げられない。
誰も助けに来ない。
完全に囚われてしまった。


媚薬による狂うほどの凄まじい飢えと、もう、どうにでもなれという自虐から、抵抗することを放棄した高耶の目から、はらはらと流れる涙は、あまりに美しかった。

「あなたが本当に素直ないい子になれたかどうか、試してみましょうね」
男は微笑んで、徐に腕を伸ばすと、催淫ゼリーで濡れる襞にいちばん長い指を潜り込ませた。
「……!」
灼熱の痒みに荒れ狂う襞に、指を埋め込まれたほんの一瞬、凄まじい快楽が走る。その途端、戒められた体がビクンと撓った。
だが、男は根元まで指を沈めたものの、まったく動かそうとしない。熱くて痒くて、そこを滅茶苦茶に擦ってほしくて気が狂いそうなのに。
男は、高耶の耳元に諭すように云った。
「楽になりたかったら、云うとおりにして……ちゃんとできたら、後で指よりいいものをあげる。ココに力を入れて、締めてごらんなさい?」
「ンン……クッ……、」
高耶は屈辱に啜り泣きながらも、云われた通り、男の指を含んだ秘所に力を入れた。

熱い襞がきゅうっと収縮して、男の指を締めつける。
「……じゃあ、今度は緩めてごらん?」
その言葉と同時に、締めつけが緩むと、男は子供をあやすように云った。
「お上手ですよ。じゃあ、もう一度締めてごらんなさい?」
「ンン……」

プライドも何もなく、命じられるまま、繰り返し男の指を締めつけては緩めることを繰り返させられて、ようやく満足したのか、男は指を引き抜くとにっこりと微笑んだ。
「とっても上手に出来ましたね。そうやって、いつもいい子でいて下さいね……」
「ンン……ン、」
ぼろぼろと涙を零し、必死に許しを乞う高耶の両脚を戒めていた枷と唾液に塗れたマウスピースが外される。だが、両腕の戒めだけは解いてもらえない。
「ゆるし……中、かゆ……た、すけ……」
「すぐですよ、高耶さん……すぐに楽にしてあげるから」
熱い囁きとともに、徐にローブを脱ぎ捨てて、男が細い体に覆い被さる。当然のように掴まれて、左右に大きく割り開かれる脚。
それまでに加えた嗜虐で、男の凶器はすでに熱く固く勃ちあがっている。
猛る先端がヒクつく入り口に押し当てられ、催淫ゼリーに濡れる襞をズブズブと割って押し入った時、高耶の喉から女のような悲鳴が押し出された。

「──ッ!!」
昨夜、初めての行為で傷ついた箇所を貫かれる激痛よりも、媚薬に狂う襞を擦られる快楽が勝って、高耶は髪を振り乱して身悶えた。
「ヒッ……ク……アアッ……!」
思いの丈をいとしい体に深深と沈めて、男の口から熱い吐息が洩れる。
男はグッと体を倒して、耳元に唇を寄せると、
「高耶さん……さっき、教えた通りにしてごらんなさい?」
そう熱く囁いて、グッと腰を突き入れた。
「アアッ…!」
「高耶さん……俺がこうした時は、ココを締めるんですよ……抜く時は緩めて下さいね。ほら、呼吸をあわせて……」
「ヒッ!……ああっ……」
云われるまま、男の動きに合わせて、収縮を繰り返す熱い襞。
喘ぐ高耶の端正な顔を見つめ、ゆっくりと腰を使いながら、男は熱い声で囁いた。
「いいですよ……あなたの中は……最高に気持ちがいい……あなたも、こうすると気持いいでしょう?」
「ヒイッ……ひ、……」

抽送により、ようやく与えられた凄まじい快楽に、もはやマトモな思考は麻痺していた。
今の高耶は口端から飲みきれない銀の糸を滴らせ、更なる行為を求めて自ら腰を振る淫らな肉の人形でしかなかった。

「高耶さん……名前を呼んで下さい……」
いとしい首筋に、鎖骨に、敏感な胸の突起に、貪るように口づけながら、男が呪文のように囁くと、高耶は泣きながら男の名を呼んだ。
「な……おえ……」
「もっと呼んで」
「なお、え……なおえぇ……っ」
壊れてしまったように、しゃくりあげながら自分の名を呼ぶ高耶がいとおしくて。
男は狂ったように腰を使い始めた。
己の昂ぶりで、いとしい体を抉るように挿し貫き、繰り返し突き上げる度、高耶はあられもない悲鳴を上げて、細い体を撓らせる。
「ひいッ……駄目……なおっ……!」

力強い律動で、敏感な襞を最奥まで犯され、自分と男の腹で撓る幹を擦られて、高耶は泣きながら喘いだ。
「アアッ……なおっ……も、でるっ……」
「高耶さん……!」
男を深深と受け入れさせられたまま、高耶は一気に昇りつめた。
「ア──ッ、」
か細い悲鳴とともに、ビクン、ビクンと震える内腿。
しろい喉が仰のき、生暖かな白濁が撓る幹からどくどくと吹き出す。収縮する襞が中の男をきゅうきゅうと締めつけ、男はゾクゾクと身を震わせた。
「………」
すべてを出しきって、一瞬、意識を失いかけていた高耶は、次の瞬間、グッと激しく突き上げられて現実へと引き戻された。
「アアッ……!」

自分を見つめる男の瞳が、ぎらぎらと光っている。媚薬を塗り込められた襞の疼きも、一度果てたぐらいでは到底収まりそうになかった。
「アア……も、ゆるし……た、すけ…」
切ない哀願が聞き入れられることもなく、男は涙で真赤に腫れた目許に口づけながら、囁いた。
「高耶さん……愛していますよ……もっともっと、よくしてあげますからね……」



死ぬまで、この部屋でこの狂った男と二人きり。
再開する抽送。射精直後の弛緩した体を激しく突き上げられて、気を失いかけては、快楽の海に引き戻されて。



何度吐清し、その身に何度、男の欲望を注ぎ込まれたかわからない。
吐き出すものもなくなるほど、激しい交わりの果て。
ようやく意識が暗い闇に落ちる寸前、高耶は男が自分を抱きしめ、幸せそうに微笑むのを見た。




To Be Continued.


そんなわけで、第5夜です…(^-^;)
この高耶さんは拉致られ二日目で、まだ直江のことをよく知らないし、当然愛してもいないので(爆;かわいそうっちゃかわいそうですの…(笑;でも、飼われていくうちに、だんだんヨクなりますのvvもちろん愛し愛されて幸せになれますの。だから、大丈夫ですのv(壊れ そこに辿りつくまでの躾は長く険しいですがv

しかし、前の晩、散々ヤッたはずなのに、直江も高耶さんも元気だ…(笑)
とりあえず、今回は性奴必須科目(?)、締めたり緩めたりの学習の回でした(殴打

第6夜はそれほどお待たせしないでアップできると思います。
それでは、読んで下さってありがとうございましたv