URA_UNTITLED 5-2
BY SHIINA
香港にいる筈の、あと四日は帰ってこない筈の直江が、リビングのドアの前に立っていた。
驚きのあまり声も出ないオレに、直江は微笑して、
「……ただいま帰りました。高耶さん」「直江ッ……ど、──して……?」
「……あなたに会いたくて。我慢できずに日程を切り上げて帰って来たんです」その言葉に、我に帰ったオレは、掠れた声を上げた。
「お、前ッ……いっ、いつから……そこ、に……ッ」
直江は悪魔的な笑を浮かべて、
「……あなたがビデオを見ていた、あたりからでしょうか?」
「──ッ!!」思わずヒッと、声にならない声が、洩れた。じっ、じゃあ、こいつ……最初から……全部……?
全身、火のように赤くなったオレに、直江はしゃあしゃあと、
「声をかけようとしたのですが、あなたがあまりにも気持ちよさそうにしていらしたので、邪魔をしてはいけないと思いまして。……あなたがイクまで、こちらで待たせていただきました」ぱくぱくと口を開いて、何か云おうとしても声も出ないオレに、
「……綺麗でしたよ、高耶さん。あなたのあんなところが見られるとは……早く帰ってきて、本当によかったですよ。あのビデオ……、あの時のこと、思い出したのでしょう?」直江はゆっくりとオレに向かって歩み寄り、オレの前に屈むと、真っ赤になったオレの顔を、ごく間近に覗き込んだ。
十日ぶりに会う直江。
たった今、あんなところを見られたばかりだというのに、恥ずかしくて死にそうなのに。それよりも今、会えた嬉しさの方が……募る。
……どうしてオレは、こんなひどい男を好きになっちまったんだろう。直江じゃないと……駄目なんだろう。
触れそうなほど顔を寄せた直江の、鳶色の瞳が、オレを呪縛する。
直江の手が、オレの右手首に伸びてくる。しろいものでベトベトに濡れた掌を見られたくなくて、咄嗟にひこうとするのを、直江は許さない。「高耶さん……これ、俺にされるところを想像しながら、出したんでしょう?」
「……ッ!」
恥ずかしさに、気が遠くなる……直江は掴んだ手首に顔を寄せ、オレの目を見つめながら、おもむろに濡れた掌に舌を這わせた。
「……!」
それだけで、……直江にされてるというだけで、オレは自分のソコがドクン、と脈打つのを感じた。
「な、……おえ……ッ、」直江はオレの手首を掴んだまま、そっと耳元に唇を寄せた。
「……何度も俺の名前を呼んでいましたよ。俺にされる時のように、腰を振って……とても綺麗でしたよ、高耶さん。……かわいいひとだ……俺に奥まで入れられて、俺の手でされるところを想像しながら、一人で、イッたんでしょう……?」
「や……、も、……、」直江の口をついて出る、淫らな言葉のひとつひとつが、オレを煽る。
前も後ろも、オレの細胞のすべてが直江を求めている。体の中を、直江を欲する欲望が、嵐のように渦巻いている。
「……なお…え……も……だめ、……ッ」
鳶色の瞳が、スーッと細められた。
「高耶さん……答えて?俺が、……ほしい?」その言葉に、夢遊病のようにオレが頷いた途端、それを待っていたかのように、直江がのしかかってきた。
激しい勢いで床に押し倒されて、噛み付くように首筋を吸われる。
「アアッ──直……ッ!」舌を差し込まれて、口腔内を激しく蹂躙されて……呼吸を求めて喘ぎながらも、直江のモノが、熱くなっているのを感じて……オレは目眩すら憶えていた。
ローブを引き剥ぐように脱がされ、唇で全身を貪られて……「会いたかった……、高耶さん……!すみません、今日は手加減できそうにない……」
「……直江ッ、……ゃくっ、早く!……手加減なんて──ッ!!」
いらない、と、最後まで云えなかった。両脚を高々と抱えあげられて、肩まで担がれた次の瞬間、オレは……さっきのビデオと、あの時と、……同じ体位で、一気に奥まで貫かれていた。
「───ッ!なおッ、……ッ、」
まったく馴らされずに突き入れられた衝撃に、一瞬、息が止まりそうになったけど、痛みよりも、久しぶりに直江を受け入れられたことの方が……嬉しかった。直江がグッと体を倒してきて、そのせいで結合が深くなって、オレは思わず呻いた。でも、痛くてもなんでも構わなかった。直江が、欲しかった。
オレは自分から直江の頭に両腕をまわし、抱え上げられた脚を直江の体に絡ませて、喘ぐように云った。
「……いいから、早…く……おねが……ほし、……直江……直江ぇ!」
「高耶さん……ッ!!」直江が、耳元に「いくらでもあげるから」と囁いて、その言葉通り、激しく腰を使いだした。
「ア──、アアッ、クッ……なお、直江ぇ……ッ!」
「高耶さん……ッ!」パン、パン、と……激しく叩き付けるような肉の音。その動きと同時に、直江の指で、強く扱かれる。
「アア──ア!なおっ、も、……でるっ……出!」オレが直江の手の中にぶちまけるのと同時に、収縮するオレのソコが、中の直江を思いきり締め付けて……
「高耶……ッ!」
直江がオレの名を呼んで、オレの中に放ったのを感じた瞬間……スーッと意識が遠くなった。
気がつくと……オレはいつのまにかベッドに寝かされていて、寄り添うように横になっている直江が、心配そうに覗き込んでいた。
「高耶さん……気がついたんですね。すみません……無理をさせてしまいました……大丈夫ですか?」
「直、江……、」大丈夫、と頷きかけて、ふいに、あんなところを見られたのだと云うことを、今更ながら思い出して……オレは羞恥に顔を背けた。
それに、それだけじゃなくて、オレ……なんかいろいろとんでもねーこと口走ってたような……「高耶さん……どうしたの?目を逸らさないで、俺を見て?」
そう云いながら、直江がオレの上に再び覆い被さって来た。
「バカッ……も、やめ……」
驚いたオレの頬を、直江の両手が包み込み、自分の方を向かせる。オレは思わずぎゅっと目を瞑った。顔を寄せてくる直江の気配に……恥ずかしくて、目を開けられない。「高耶さん……目を開けて。俺を見て?」
「や……、恥ずか……」
「大丈夫だから……お願いですから……俺を見て下さい」真っ赤になったまま、おそるおそる目を開くと、触れそうなほど近くで、直江が覗き込んでいた。
直江は微笑して、
「……嬉しかったですよ。あなたが、俺の名前を呼んで、俺を思って、してくれたこと……本当はあの時のあなたを見た瞬間、その場で押し倒してしまいたいのを、必死で堪えてたんです」
「………ッ」
「高耶さん……」
「直…江……ッ、」直江は、オレの耳元に唇を寄せて、そっと囁いた。
……頭の中に聞こえていたのと、同じ、……アノ声で。「高耶さん……もう一回、……駄目、ですか……?」
その言葉に……再びオレのソコが、ドクン、と疼いた。
頬を被っていた手が、首筋を伝って、そっとローブの胸に差し込まれるのに、オレは抗えない。
……爪で胸を軽く引っ掻かれて、オレは思わず声にならない声を上げる。
「ッ……」
差し込まれた手が、だんだんと下に下りて行き……さっき自分でしたのと同じ手順で、今度は直江の手が、……してくれる……「……なお、…え……ッ、」
立ち上がりかけたモノを、柔らかく扱かれて、思わず息があがる……直江はオレの耳朶を甘噛みしながら……なおもアノ声で、囁く。
「高耶さん……俺がいない間に、あんなにたくさんお酒を飲んで。……あなたは未成年なのに、駄目ですよ……それに……あんなビデオ、……どこで手に入れたの?……悪い子だ」
ズッ、と前ぶれもなく後ろに指を差し込まれ、思わず身を仰け反らせながらも……オレは必死で反論した。
「……ち・がっ、……あ、れはっ……ちあ……ッ」
「悪い子には……お仕置きしないと、ね……」埋め込まれた指が……オレの中のいちばん弱い部分で、あやしく蠢く。
「ア──直……ッ、」潤んだ視界に映る、鳶色の瞳……
「今夜は……寝かせませんよ、高耶さん」
またこんなモノをアップしちまいました(ーー;なんだか突然、高耶さんの一人Hが書きたくなってしまひまして、つい・・(^^;
エロいのか甘いのかきっちーなのかギャグなのか、なんだかわけわかんない話になってしまい、反省しておりましゅ(ーー;
でもこれ書いてみて、やっぱり椎名は、一人Hな高耶さんより、直江に組みしかれて(或いは跨がって/爆)直江に気持ちよくされる高耶さんが好きとゆーのを、改めて実感いたしました(笑)
やっぱり直×高でせう(笑)♪これからも、直江に好きほーだいされて、泣かされつつ気持ちいい高耶さんを書きたいでし♪
ゆーわけで、読んで下さった方、どうもありがとうございました!
* * *
おまけ(爆)
数日後──都内某所に、久しぶりに顔を揃えた冥界上杉軍の姿があった。高耶が綾子と話し込んでいる間、千秋が直江に耳打ちした。
「よお、ダンナ。……で、こないだのどーだった」
ほくそ笑んだ男に、長秀は肩を竦めた。
「今のウブい景虎じゃ、相当刺激が強すぎたろーぜ。てめーみてーな悪党に見入られて、ヤツも気の毒に」
……最初から、直江の出張は十日の予定で、千秋にビデオを届けさせたのも、実は直江だということを、哀れな高耶は、知る由もなかった(合掌)