†直×高触手絶頂集5†




「夢」


BY 京香様(NO.32触手)



―――あ。また、だ。またあの夢だ。

白く淀む意識の中、高耶は自分の体に絡みついてくる「それ」を知覚した。


最近毎夜のごとく見る、その夢。
それは、何本にも伸びた触手に手足を拘束され、失神するまで体の奥を貪りつくされるという、とんでもない「夢」であった。
いつから見るようになったかなんてわからない。
気が付いた時には、触手に犯される自分がいた。
こんな事おかしい。
マトモじゃない。
そう思うのに、今日もその夢を見る事は止められない。

高耶はただ、無数に蠢く触手によって甘い声を上げるだけ―――。







適度に柔軟性を持った「それ」は、うねうねと怪しい動きをみせながら、高耶の細い体にまとわりついてきた。
ゴム状のもの、といっていいのだろうか。
弾力のあるそれは無抵抗の体に絡みつき、少しずつ高耶の体を侵略していく。
「ふ、…ん」
触手は何かの液体に濡れていた。ぬめるそれは高耶の渇いた肌を滑り、微妙な刺激を与えてくる。
「――あっ」
敏感な足の付け根を「それ」が滑っていった。その感触につい甘い声が漏れてしまう。けれどその一方で、自分がそれを待っていたと事に気がつく。
体が疼く。
蛇の生殺しのような、緩い刺激が高耶を淫らに花咲かせる。
「あふ…。あっ…もっ…と……」
触手に拘束され、ままならなかった指先がピク、とシーツを掻いた。それを待っていたかのように、高耶の体に絡みついていた触手が明確な意図をもって動き出した。
「あっ!」
足に絡んでいた触手が、高耶の足を折り曲げ大きく開かせた。卑しい部分を全開にするその恰好に、高耶の頬が羞恥に染まる。思わず前を隠そうと力を込めた手は、横から伸びてきた触手に捉えられ頭上に固定された。
大股を開いた状態で胸を大きく反らした高耶は、傍から見ても卑猥だった。
「あぁ…! や、あ……!」
恥ずかしい。
何で自分は今、こんな恰好をしているのだろう。しかも「その」状態で何もされないのが、高耶には苦痛だった。
「んんっ。んんんっ。あ、ん。…だれ、か、そこ触ってく……」
淫らに晒した股間が疼く。恥ずかしい恰好を取らされ、そのまま放置されている自分がとても歯がゆかった。
(こんなんじゃない。こんなんじゃなく、もっと手酷い愛撫が欲しい……!)
そう思った時には求める声が出ていた。
「な、おえ……! もっ…、いじって…くれ!」
涙を溜めた黒い瞳が、うっすらと開かれる。愉悦の波に揺れるその双眸に、黒い人影が映った。
「どうしたの? 高耶さん。こんなにいっぱい涙を溜めて…」
暗闇に響く、いつもの優しい声。
高耶は縋るように訴えた。
「ん、ん! なおえ、そこっ、そこいじってくれっ!」
「そこって、どこ? ―――ここの事?」
「あっ! んんっ」   
直江の声とともに、高耶のピンと立った乳首に先ほどの触手が絡みついた。適度な太さをもっていたそれはいつの間にか紐状のものになり、敏感になったそこにやわやわとした愛撫を施してくる。
「チガ…ッ。そこ…じゃ、なく」
グイグイと乳首を押し潰してくる感触に耐えながらかろうじて言葉を紡ぐと、今度は足の付け根に絡みついていた触手が怪しい動きを開始した。
「違う? では、―――ここ?」
「あっ、あっ…」
自分の取らされた淫らな恰好で、すでに興奮していた高耶のものは緩やかに勃ち上がっている。そこに、胸元を愛している触手と同じようなものが螺旋状に絡みついてきて、高耶は鋭く息を詰めた。
「んんっ、ん…! もっとさき。先っぽ…」
棒の方ばかり擽られている高耶は、本当に欲しい所がどこなのか、無意識のうちに口にした。
通常ならばそんな事、口が裂けても言えない。
自ら「触って欲しい」、だなんて。
しかし、いつもと違ってポイントをわざと外した男の責め苦に、高耶の体は限界に近づいていた。
「や、あ! なおえっ、もっと! もっとやってく…っ。そこじゃ、ないっ。そこじゃなくて、もっとぉ……!」
自由の利かない手をぎゅっと握りしめる。爪が皮膚に突き刺さる感触にも感じて、高耶は官能の涙を流した。
(何とか、して欲しいッ)
過ぎる快楽に、苦痛を浮かべた瞳で直江を見る。
(この、体を縦横無尽に走る甘い痺れを取り去って欲しい…!)
そう請うた瞳で必死に見つめていると、それを見ていた直江はフ…、と微笑を零した。
「…仕方のない人だ。そんなにこれがいい? ―――いいみたいですね。こんなに濡らして…。俺とする時よりも興奮しているみたいだ。………妬けますね」
「バ、カ…言って…じゃ」
「そう? でもあなたの体は、―――ほら、こんなにも熱く蕩けている」
「ヒァッ!」
いきなり伸びてきた触手が、高耶の先端の割れ目を擽った。あまりにも強すぎる刺激に、高耶の目の奥で火花が散る。瞬間的に震えた体は動いた事により、一層触手に隙を与える結果になっていた。
蛇のように巻きついた触手が、ぬるぬると体を滑っていく。ゾワリとした感覚に唇を震わせると、それを嘲笑うかのように触手が悪戯を始める。
高耶の幹に絡みついた触手が、螺旋状にそこを締めあげてくる。その一方で精液が吹き出す穴を刺激され、高耶は掠れた悲鳴を上げた。
「アァ――…! イ、イッ、イイ、よぉ――…!」
ビクッ、ビクッと体を震わせた高耶が一際大きく震えた。その瞬間、天を突いた先端から勢い良く白いものが吹き出した。
「あ…ぁ…、…ふ…」
射精した事により弛緩する体。ビクビクと体を震わせながらほぅっと満足そうな息を吐く高耶に、だが触手は動きを止めない。自在に太さを変えた触手が、今度は濡れた高耶の入り口に潜り込んでくる。
「ウッ」
イッたばかりで敏感になっている先端に、入り込んでくる、それ。
通常では考えられないところに入ってくるそれは、高耶の蕩けた脳をダイレクトに刺激する。
「あうっ! あ……。やぁっ…、なおえっ。何して…っ!」
クチクチと、高耶のペニスの穴を出入りするそれ。
信じられないところに沸き起こる感覚に、かろうじて頭を起こすと、股間で蠢く触手が嫌でも目に入ってきた。
高耶はあまりの淫らさにギュッと目を瞑った。
しかし、その淫図が高耶の性感を高めているのも事実だ。つい今しがた達したばかりだというのに、高耶のそこは大きく膨らみ、白い涙を零している。また、放っておかれていた両の果実もやんわりと転がされ、高耶はあまりの気持ちよさに恍惚とした表情を見せた。
「あん、あぁ……」
イイ。
凄く、イイ…。
頭がおかしくなりそうなくらい、凄く気持ちがイイ。
高耶を今、犯しているのが未知なる物体であろうと、そんな事はもうどうでもよくなっていた。
この快楽は、一度知ったらクセになる。忘れる事なんて出来やしない。
それほど、高耶にとって至福の一時だった。
高耶は瞳を彷徨わせながら、口の端から飲み切れなかった唾液を零した。
信じられないくらい感じて気をやった高耶は、娼婦よりも淫らだ。
そこここを勃たせながら、強請るように細められる瞳。
紅い舌がチラリと覗けば、それは挑発に過ぎない。
もっと犯して欲しいと、高耶が焦れている。
いつ見ても、興奮する瞬間だ。
直江はコクリ、と息を呑むと念で再び触手を動かした。
「あ…」
明確な意図を持った触手が高耶の体を反転させる。シーツの上に俯せになった高耶は、腰だけを突き出すような恰好を取らされた。その間も高耶にまとわりついた触手は、高耶の弱いところをクチュクチュと刺激している。
直江の眼前に全てを晒した高耶は、遠くなる意識の中、まだ一度も触れられていなかったそこに暖かな息がかかったのを感じた。
「すごい…、あなたのここ。こんなにヒクついている」
興奮した声とともに、後ろの入り口に何かが触れた。それは高耶のよく知っている、直江の指だった。
高耶の前から漏れた液が、秘部をぐっしょりと濡らしていた。
すっかり柔らかく解けていたところに、直江の細くない指が入ってくる。
「ん…」
痛みは感じなかった。直江の指なんかでは、もう既に物足りない。それを裏付けるかのように一層収縮を繰り返すそこに、直江はクスリと笑った。
「私の指では満足できないみたいですね。いいですよ。あなたの好きなものをあげる」
その言葉に、直江の楔を与えられると思った高耶はうっすらと笑みを浮かべた。
(やっと、得られる)
やっと、いつものお前が―――。
だが、指の代わりに入ってきたのは、直江の楔ではなく―――。
「あ! んんっ。な、おえぇ……」
シーツにしがみついて必死に耐える。ツルリとしたものが、高耶の中を驚くほどすんなりと突き進んできた。
「ああん、アッ…! なに、…な…ぇ」
「何って…。わかるでしょう? いつもあなたを愛しているものですよ。私のより長いから、気持ちいいでしょう?」
「! アァ――…」
グッグッと容赦なく潜り込んでくるそれ。直江の言う通り、信じられない所まで深く潜り込んできた触手が、高耶の官能を刺激する。
「あん!あぁ…」
ぎっちりと銜えこんだ口が触手をキツく締めつける。それに、自分のものを絞られているような錯覚を覚えた直江は、生唾を飲み込みながら込み上げてくる劣情を抑えた。
「気持ちいい? ねぇ、高耶さん…。こんなに嬉しそうに頬張って」
高耶の白い臀部に手を伸ばすと、高耶の体がビクッと大きく揺れ、呑み込んでいる触手を一層強く締め付けた。
「んっ!」
(なんて淫らな…)
しかし、これ以上はない高耶の媚態に、直江は息が上がるのを止められなかった。
「高耶、さん。…今度は何をやって欲しい? あなたの言う事なら何でも聞いてあげる。何でもしてあげる。―――あなたが満足するまで」
だから言って。
悪魔の囁きのようなそれ。
高耶は淫らな熱に浮かされながら、ゆっくり後ろを振り返った。
「な……ぇ」
「…え?」
「お、まえ…。おまえがいい。おまえが欲しいっ。こんなんじゃなく、おまえが……ッ」
言ったとたんボロボロと涙が零れた。
こんなんじゃなく、お前に愛されたい。
お前と一つになって、お前の腕の中で昇りつめたい。
(おまえとじゃなきゃ…、オレは……)
涙で霞んで直江が見えない。
自由の利かない手を必死に伸ばし、高耶は直江を捕まえようとする。
その様子に直江は、とても、とても柔らかく笑った。
「可愛い高耶さん。そんなだから私は…」
「…ぇ……?」
「―――いえ。こちらの事です」
直江は苦笑すると、額に力を込めた。
とたんに消える、無数の触手。
残されたのは、淫らに臀部を晒す高耶だけだった。
「可愛そうに。こんなに泣いて…」
直江は高耶に近づくと、今まで触手を銜えていた高耶の秘部を一舐めした。
「アッ!」
「焦らないで。今、あなたの中にあげるから。あなたの欲しがっているものを、たっぷりと、ね」
言うが早いかそこに潜り込んできた熱い楔。圧倒的な力で押し入ってくる直江に息を詰めた高耶だったが、それが自分が最も欲しがっていたものかと思うと、高耶は知らず知らずのうちにうっすらと笑みを浮かべた。
「あっ…あ!」
すっぽり収まったそれは、高耶の秘穴を我が物のように蹂躙する。
血管の浮き出た太い幹に襞を強く擦られ、高耶は幾度目かの掠れた悲鳴を上げた。







「あ…」
瞳を開けると、隣に、横たわる直江が飛び込んできた。一瞬どこにいるかわからなかった高耶だったが、暗闇に響く秒針の音に、だんだん自分の置かれている状況がわかってきた。
ぎっちりと逞しい腕に抱かれて眠る自分は、――そう。昨夜直江と一夜を供にしたのだった。
(て事は……、オレ、直江とヤッたにも関わらずあんな夢を…)
そう思ったとたん、あまりの淫らさにカッと顔を赤らめた。
あんなに直江に愛されたくせに、それでも足りないのか。
高耶は昨夜も、直江の優しい手によって何度も昇天させられた。直江は自分の快楽よりも高耶を高める事を優先しているらしく、いつも高耶が失神するまで何度もイカせるのだ。
それはもう、筆舌出来ない程の最高の瞬間の連続だった。
直江の手にかかったら、不感症の女だって満足するに違いない。
そんなヨコシマな考えが浮かぶくらい、直江は技巧に長けていた。
だから、満足していない訳がないのだ。
本当に気持ちよくて、本当に満たされていて…。
(これ以上望んだら、バチが当たる)
そう思っているのに。………これはなんなんだ。
高耶は自分の貪欲さに、呆れる思いだった。
(オレ…、かなり淫乱なのかも)
絶倫の直江に毎夜のように付き合っているというのに、これは一体何なのだろう。
高耶は恥ずかしさのあまり、直江の胸に隠すように顔を埋めた。
(こんな事、コイツには知られねぇようにしねーと…)
いくら直江と言えど、こんな淫らな高耶は嫌いになるかもしれない。それだけは嫌だ。それだけは回避しなければならない。
直江に嫌われることほど、高耶にとって辛く悲しい事はない。
そんな事になったら多分………、いや。絶対自分はおかしくなる。
だから。
(知られちゃいけない。コイツにだけは。―――絶対に)
必死に思う一方で重くなる瞼。
またあの「夢」に堕ちる事も知らず、高耶はすぅっと意識を手放した。





やがて、すっかり寝静まった室内に黒い影がむくりと起き上がった。
傍らで静かに眠る高耶を見て、男は笑みを浮かべる。
とても幸せそうに。

そしてとても、


―――好色そうに…。


fin.



†京香様コメント†
「いい夢見せてもらいました……」

†会長コメント†
京香様のサイトのキリ番を踏んだ記念に、京香様よりすかさず強奪させて頂きました、素晴しい作品です!
リクは「触手に弄ばれてひらがなモードでよがりまくる超ラブリーな高耶さん♪」でしたが、あたくし、感無量でございます!!

京香先生、可愛い高耶さんをありがとう(><)椎名もいい夢見させて頂きました…えへへへへ☆(壊)

京香様、素晴しい作品をありがとうございました!!
また、ぜひ書いて下さいねv

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