直×高しーくれっとしょた劇場
しょた前夜

作・椎名




直江は苦悩していた。この男を悩ますもの──それは当然、景虎以外に他ならない。

現名・仰木高耶。
長い苦しみの果てに、ようやく見つけたそのひとは、Tシャツとショートパンツから覗く長い手足もまばゆい、黒いランドセルが良く似合う、元気な小学二年生だった。

念願叶って二人で暮らしはじめたはいいものの、一緒に風呂に入りたがる高耶。
彼の全裸(爆)が見れる夢のひととき。

だが、それは同時に、想像を絶する苦悩の時間でもあった。
高耶の、頬ずりしたくなるほどすべすべの双丘──それを目のあたりにする度、この奥に、さくら色の秘所が隠されているのだと思うと、辛抱たまらなくなってしまう。

今日も、「一緒に」とせがむ高耶に押し切られて、一緒に入った。
主君と同じ湯には入れないため、いつも浴槽につかるのは交代である。
直江が体を洗っていると、ふと、お湯からあがろうと浴槽をまたいだ高耶の秘所が、一瞬目に入ってしまった。

(ああ──景虎様!あなたは、またそうやって私を苦しめる)

直江の苦悩も知らずに、高耶が楽しそうな声をあげた。
「あー!またなおえの、おっきくなってる!」
直江は弱り果てた笑を浮かべた。

高耶は不思議そうに、
「どうしてなおえの、いつもおふろのとき、おっきくなるんだよ?」
「それは……、」
直江は心の中でツッコミを入れる。
(あなたのせいですよ、高耶さん)

「すみませんが──先にあがっていて頂けますか?」
「うん」
高耶には、「大人は長湯をしてもいいけど、子供は早く出ないといけないんですよ」などと口からでまかせを云って、いつも先にあがらせている。
当然、その後、一人虚しく処理(爆)してから出るのだが、風呂からあがると、悪戯な高耶は、まだ服を着ないでその辺を駆け回ったりしている。

何度「風邪をひくから駄目ですよ」と云っても、直江に手をやかせるのが楽しくて仕方がないらしい。相手は子供なのだ。

無防備に全裸を曝して、知らないうちに自分を誘う高耶。

──いつまで、我慢できる?

換生者に宿体は関係ない。当然性別も関係ない。老人だろうが幼女だろうが、かまわない──はずだったのだが。
実際に屈託のない小学生の彼を目のあたりにして、本当に手を出していいのかどうか──

(ジーザス・クライスト──!)
悩めるユダ、直江は頭を抱えた。
(景虎様──あなたはどこまで私を苦しめたら気がすむのですか)


今日も仕事を終えた直江が帰宅すると、まるで淋しがりの子猫が飼い主にすり寄るように、高耶が飛びついてきた。
「おかえり、なおえっ!」
直江は愛おしくてたまらずに、小さな体を軽々と抱き上げ、頬にただいまのキスをした。
高耶がくすぐったそうな声をあげる。

「いい子にしていましたか?」
「うん!」
自分がドロドロの欲望を抱いていることなど、まったく知らずに向けられる、屈託のない笑顔。
(高耶さん──!)
この笑顔を、醜い欲望で汚してはいけない。側にいられるだけで幸せではないか。
ついに直江は心を殺し、苦渋の決意をした。

夕食が終わってしばらくした頃、とうとう罪の瞬間が訪れた。
「なおえー!おふろはいろ!」
直江は覚悟を決め、心を鬼にして云った。
「高耶さん。すみませんが、今日からお風呂は別々に入りましょう」

いつも何でも云うことを聞いてくれる、優しい直江の口から飛び出した、思いがけない言葉。出会って以来、拒否されたことなど、一度もなかったのに。
茫然と見開かれた高耶の瞳にみるみるうちに涙が滲み、今にも溢れそうになった。
「───っ、」
ついに、一筋の涙がスーッと頬を伝った。

最愛のひとを泣かせてしまった──!
焦ったのは直江である。
「たっ、たた高耶さん!?」
高耶の口から、思ってもみない言葉が紡がれる。
「──そう……だよな、なおえ、しごとでつかれてて──おふろぐらい、ひとりでゆっくりはいりたいよな──なのにオレ……きがつかなくて……いつも、つきあわせて──ごめん……」

大きな瞳からポロポロと涙を零しながら、途切れ途切れに紡がれるその言葉に、直江はたまらなくなって跪き、小さな体を折れるほど抱きしめた。
「高耶さん──許して下さい、あなたを泣かせるつもりはなかった。違うんです、俺は……、」

高耶の涙の前に、直江の決意は脆くも崩れ去り、この瞬間、直江は神にも背く新たな決断を下したのだった。

「高耶さん、今の言葉──忘れて下さい。これからも、ずっとずっと一緒にお風呂に入りましょう。あなたが、大好きです。愛していますよ」
「なおえ……っ、」
ぎゅっと抱きついてくる高耶を胸に、直江は小さく呟いた。
「高耶さん、許して下さい──」
その呟きの真の意味をわからぬまま、高耶は涙に濡れた瞳でにっこりと笑った。



この日、初めて直江は高耶と一緒の浴槽につかった。高耶はさっき泣いたなのが嘘のように、屈託なくはしゃいでいる。
二人揃って湯からあがると、直江が云った。

「今日は二人で洗いっこしましょうね」
高耶は嬉しそうに頷いた。ボディソープを泡立てて、二人でじゃれながら体を擦りあっていると、いつのまにか直江のモノが大きくなっていた。

「なおえ──またおっきくなってる」
「あなたが大好きだから大きくなったんですよ」
「?」
高耶はきょとんとしている。
「高耶さん──コレに、触ってみますか?」
「うん!」
高耶は屈託なく頷いた。実は高耶は、ずっと前からソレに触わってみたかった。

いつも一緒にお風呂に入る度に、気がつくと大きくなっている直江のソレ。でも、お風呂から出てきた時は、元に戻っている。それが不思議で仕方なかったのだ。

高耶の幼い手が、おそるおそるソレに伸び、触れた途端、直江のソレは更に硬度を増した。
「なおえの……すごく、あつくてかたい……」
直江は微笑して、
「あなたが、あまりに可愛いからですよ」

高耶は首をかしげた。なんで自分が可愛いと、直江のモノが硬くなるのかわからない。
「?」
心底不思議そうな顔をした高耶の、あまりの愛らしさに、直江は苦笑して云った。
「あなたも、もう少し大きくなったらわかります」
「ふーん」
「高耶さん──コレにいい子いい子、してくれますか?」
コクンと頷いた高耶が小さな手で撫でると、直江のソレがピクッと動いた。
「あっ──」
声をあげた高耶に、直江は笑って、
「高耶さんがいい子いい子してくれたから、喜んでるんですよ」
「??」
わけがわからないが、とにかくこうされると直江は嬉しいらしい。
「高耶さん、今度は両手で触って、上下にいい子いい子して下さい」
「うん」
云われた通り、そっと両手で上下にいい子いい子すると、直江のソレはもっと硬く大きくなった。
「高耶さんがいい子いい子してくれるから、コレが気持ちいいって喜んでますよ」
「???」
ますますわけがわからないが、とにかくこうすると直江が喜んでくれる。直江が嬉しいのが嬉しくて、高耶は両手で一生懸命、それを撫でた。
そんな高耶の髪を、直江が優しく撫でる。

しばらくすると、ソレの先端から透明な液体が滲み出した。
高耶がびっくりして声をあげた。
「なおえっ──」
「大丈夫。コレは高耶さんが一生懸命、いい子いい子してくれてるから、嬉しくて出てきたんですよ。もう少し、そのまま続けてくれますか?」
高耶は頷いて、小さな手を動かし続けた。

手の中の、大きくて熱くて硬いソレ……なぜかはわからないけれど、いい子いい子してあげると、喜んで透明な液体を零すソレ。大好きな直江の──


次の瞬間、直江は目を見開いた。

何を思ったのか、高耶がソレに顔を近づけてきたのだ。
高耶としては、いつも「いってらっしゃい」や「おやすみ」のキスをするように、何気なくのつもりだったのだが……
「たっ、高耶さ──!」

止める間も引き離す余裕もなかった。
高耶の小さな唇が、先端に触れた瞬間──電気のような痺れが走り、四百年、恋こがれたそのひとの唇で触れられたあまりの感激に、直江は放ってしまっていた。

目の前で、突然直江のソレからしろいものが飛び散り、その液体を顔や体にもろに浴びてしまった高耶は、驚きのあまり、目をまんまるにして、固まってしまった。

「高耶さん!すみません!」
おろおろする直江の前で、まだ高耶は茫然としている。直江は真っ青になって、必死に呼びかけた。
「高耶さん、高耶さん!大丈夫ですか?」
「なお……、いまの……なに……、」

高耶は震えていた。直江は小さな体をぎゅっと抱きしめ、何度も何度もその髪を撫でながら、
「──許して下さい……こんなつもりは──あんまり嬉しかったものですから、つい……驚かせてしまいましたね」

直江のその言葉に、高耶がようやく反応した。
「うれしかった──から?」
「そうですよ……あなたがキスしてくれるなんて思わなかったから、嬉しくて我慢できなかったんです……すみませんでした」

何が起きたのかはわからないけれど、それはすべて「嬉しかったから」──そう云われて、ようやく高耶の顔に笑顔が戻った。
「なおえ……」
自分から抱きついて、頭を擦りよせてくる高耶。
「高耶さん……愛していますよ」

しろいものをもろに浴びてしまった高耶を、シャワーで清めてやり、もう一度ボディソープで丹念に洗ってやってから、二人仲良く風呂からあがった。



これまでは間違いを起こさないよう(爆)寝室を分けていたのだが──

「今日から、一緒に寝ましょう」と云われ、高耶は嬉しくて直江に飛びついた。

ベッドに入り、おやすみのキスの段階になって、直江が囁いた。
「高耶さん。これから毎日、少しづつ、大人の遊びを教えてあげる」
「ほんと?」
「ええ。でも、これは好きなひと同志がすることなんですよ。高耶さん、あなたは私を好きですか?」

好きなひと同志がする遊び──高耶が目を輝かせた。
「うん!なおえ、だいすき」
屈託のない笑顔に、微かに胸が痛んだが、もう自分を止められない。
「私もあなたが大好きですよ。高耶さん、この遊びは二人だけのひみつです。誰にも云っては駄目ですよ」

二人だけのひみつ。その言葉に、高耶は嬉しくて直江にしがみついた。

やがて、おやすみのキスをいっぱいもらって、腕まくらで、すやすやと寝息をたてはじめた高耶の寝顔を見つめながら、直江は思った。

どんな罰も、受けるのは、この背中だけ。
例えショタコンと呼ばれようと、オウギタカヤ──あなたを、愛している。





……(^^;椎名のしょた第2弾です。子供高耶さんに顔面シャワー(死刑)そのうち捕まるんぢゃないか?オレ…(ーー;

けど、こんな甘甘を書いたの久しぶりです(苦笑)子供に手を出してはいるものの、うちの直江の中では、この直江、マトモな部類に入りますね(笑)

高耶さんがひらがなモードなのは椎名の趣味です(爆)

ではでは読んで下さった方、ありがとうございました!

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