†UNTITLED†




──久し振りの、逢瀬。


レストランでの食事の後、ふいに手首を掴まれて、路地裏に連れ込まれた高耶は、何か云うまもなく、男の腕に抱き止められて、深く口づけられていた。

ビルの壁に押し付けられ、その上から被い被さるようにのしかかられて、逃げることもできない。次々と降ってくる口づけを振り切り、高耶は顔を真っ赤にして喘いだ。

「駄目……だ、なおっ……、こんなとこ、でっ……」
誰かに見られるかもしれないと云う怯えから、必死で男を押し返そうとしても、男の力は強い。
「高耶さん……ホテルまで、とても我慢できない」
男は熱い声で囁く。

押し戻そうとする腕を掴み、コンクリートの壁に縫い止めて、男は尚も深く口づける。
舌で唇を抉じ開け、閉ざされた歯列をなぞり、開くように促しても、高耶は必死で唇を閉じたままだ。



最愛の名前を囁き、男はつれない唇を、舌先で何度も何度もノックする。
コートの上からもソレとわかるほど、怒張したモノをグッと押し付けられて、高耶は羞恥に頬を染めたが、やがて、その瞼が観念したように閉じられると、おずおずと唇が開かれた。

許された喜びに、狂暴なまでの愛おしさが込み上げる。
「高耶さん……」
熱い吐息と共に、男の舌が高耶の口腔に侵入した。

「ンンッ…、」
強引な舌が高耶の舌を貪る。
魂まで食らい尽くされるような激しい口づけに、フッと意識が遠くなる。
「高耶さん……」
「……なお、え……」

熱に侵された夢遊病患者のように、高耶はのろのろと自ら壁に手をついた。


男を、その身に受け入れる為に。



BY 417