† CAT POWDER †



男が高耶を強引にペットとして飼い初めてから二週間。

最初は痛がって容易に受け入れなかった行為にも強引に馴れさせ、今は上の口での奉仕を仕込んでいるところだが、心なしか元気のない高耶に、男はペットショップからとある薬を届けさせた。
「CAT POWDER」、いわゆるまたたびである。
人間の愛玩ペット用に開発されたその薬は、習慣性のないよう調合されたごく安全なものだが、ペット用とあってその効果は凄まじい。

この日、高耶に出されたミルクには、秘かにこのパウダーがまぶしてあった。
いわれるまま、高耶が餌皿に顔を近づけ、おずおずと一口嘗めると、ふいに酩酊したような、なんともいえない気分になった。

男は屈んで、高耶の髪を撫でながら囁く。
「おいしいでしょう?残さずにね……」
ぴちゃぴちゃと、まるで子猫のようにパウダー入りのミルクを嘗めて、餌皿がすべて空になると、男は「いい子ですね」と笑って、ソファに腰を落し、自分の膝を叩いて高耶を呼び寄せた。

のろのろと立ち上がった細い体を横抱きにし、深く口づける。
高耶が微かに身じろぎをしたが、すぐに観念したように男の舌を受け入れた。
「んんっ……、」
激しい口づけに、すぐに高耶の呼吸があがりかける。
男は唇から首筋に沿って、少しづつ唇をずらしては、新たな紅い痕を散らして行き、その度に高耶はビクビクと身を竦め、堪え切れない吐息を洩した。

薬が効いてきたのか、高耶の呼吸がだんだんとおかしくなりはじめた。その目が欲望に蕩け、触れられたくてたまらなくなる。
「なおっ、何、飲ませ……」
膝の上で、小刻みに震え出した高耶に、男はにっこりと微笑む。

「猫にまたたび、と云うでしょう?高耶さんがこの頃元気がないようだったから、うんと元気になれるように、特製のおやつをあげたんですよ」
首筋をスーッと撫で上げられて、細い体がびくん、と跳ねた。
「ひっ……」
まるで体のすべてが性感帯になってしまったようだった。直江に触れられている箇所が、じんじんと疼く。

「すごい利きめですね。もう、こんなにして……」
直江は笑って、高耶の敏感な箇所を指で軽く弾いた。途端に高耶が悲鳴をあげる。
「ああっ……」
自慰への欲求が高まり、耐えられなくなる。
「どうしたいか云ってごらん?」
「なおっ……」

尻尾と称して、行為の時以外、常に入れられたままの淫具を出し入れして、もっとヨクなりたい──ペニスを思いきり擦って、しろいものを出したい。直江の太くて大きいアレで、うんと滅茶苦茶にしてほしい──

マトモな思考を奪われて、紅い唇が辿々しく、淫らな願望を口にする。
細い体をしきりに擦り寄せ、行為をねだる。

文字通りの愛玩動物に堕ちていく高耶を、男はたまらなく愛しいと思った。


BY 417