「BODY Check〜プチラチ。」




Presented by 黒417




駐車場の片隅。
白昼、密室と化した車内で繰り広げられる、取調べと云う名の淫らな情事。

「ンンッ……クッ……」
男の上にまたがり、唇を噛み締めながら、猛る凶器を自ら奥まで飲み込んで、高耶は苦痛と快楽のないまぜになった、濡れた瞳で男を見た。

男は今にも触れそうな位置にある、形のいい唇を指で辿って、揶揄るように微笑む。

「随分、淫らなひとですね。自分から奥まで飲み込んで、そんな風に欲しそうな目で男を誘う。いったいいつのまに覚えたの?本当に、あなたほどの悪い子は見たことがありませんよ」
「……っだよ、お前が……やれって云ったんだろ……っ」





あの日、この車内で、同じこの場所で。
はじめての体に、無理矢理、肉の苦痛とそれを凌駕する快楽を教え込まれた少年は、潤んだ瞳できつく男を睨みつけた。
その視線さえもが、尚も男を狂わすなどと、高耶は夢にも思わない。
男は大きな掌で、滑らかな双丘を両側から掴んで、持ち上げては、また奥まで沈めた。
「アアッ……!」
熱く太い凶器で敏感な粘膜を擦られて、たちまち甘い悲鳴があがる。
「こんな……ことっ……絶対許さね……お前なんかっ……」
「俺がそんなに憎ければ、訴えればいいでしょう?でも、あなたにはできっこない。毎日、自分から犯されにこの場所に来ているくせに。俺のコレが欲しくてたまらないくせに」
「云う……なっ……ヒッ!」
不意打ちのように、真下から激しく突き上げられて、堪えきれずに悲鳴をあげて仰のいた胸の尖りを、男は口に含む。
「やあっ……」
腕の中で撓るしなやかな体。
何度、欲望を突き立て、所有の証の白濁を注ぎ込み、壊れるほど貪っても、欲しいと云う気持ちがつきない。

「アアッ……も、なおっ……!」
激しすぎる抽送。
細い両腕で、必死にしがみついてくる体。きゅうきゅうと締めつけてくる襞。
今、このひとが感じている快楽はどれほどのものだろうか。そして、それを与えられるのは、自分だけ。
細い体を折れるほど抱きしめて、男は囁いた。
「逃がさない……あなたは、俺のものだ……」

まだ十四才になったばかりの、仰木高耶と云う名の底無しの麻薬。
囚われてしまったのは、男の方だった。





二人分の白濁に塗れた肢体をしどけなく晒して、ぐったりとシートに身を預けている高耶。情事の後の、こんな彼の姿を見る度に、このまま攫ってしまいたい衝動にかられる。
こんなに淫らなこのひとを、男を虜にするこんなに淫らな麻薬を、自由にさせておいてはいけないと。

無性に煙草が吸いたくなり、投げ出されていたパーラメントの箱に手をかけて、男は思いとどまった。高耶が同乗しているこの車の中では、煙草の煙はよくない。

(高耶さん……)
せめて、このひとが中学校を卒業するまで。中学を出たら、その時は……ふと、我に帰って、男は自嘲したような笑を浮かべる。
(バカな……)
本気でこのひとを、閉じ込めようだなんて。


疲れ果て、子供のように眠ってしまった横顔を見つめながら、男は暗い物思いに耽っていた。

二人の出会いは少し前にさかのぼる。







7月の終わり、×中学校2年×組では、終業式を終えて、今学期最後のホームルームを迎えていた。生徒達の目の前には、「夏休みの過ごし方」と言うプリントが配られている。
中年の担任教師が声を張り上げた。
「いいですか?夏休みはいろいろと誘惑がいっぱいです。小、中学生を狙った事件も増えています。皆さんも待ちに待った夏休みを迎えて、嬉しいのはわかりますが、浮かれすぎて、くれぐれも夜遅くまで盛り場をうろついたり、知らない人についていって事故に巻き込まれたりすることのないように。わかりましたね?」
生徒達は声を揃えて答えた。
「はーい」
後ろの席で肘をついて、嫌々話を聞いていた高耶は、心の中でうんざりしたように呟いた。
(くだらねえ……ガキじゃあるめーし)




ようやく退屈な時間から開放されて、学校を後にした高耶の足は、自宅ではなく、いつもの繁華街に向いていた。
アル中の父親に愛想を尽かして、母親が出ていってから数年。今朝も朝っぱらから飲んだくれていた父親に殴られ、高耶の口元は少し腫れている。
今頃、父親はすっかり酔いつぶれて寝ている頃だろうが、アルコール臭の充満した自宅には、到底戻る気にはなれなかった。

松本は小さな町だ。
若者が集まる場所といえばパルコと駅ビルぐらいである。
その上、たいして金を持っていない高耶ぐらいの年代の遊び場となれば、せいぜいゲームセンターやファーストフードとタカが知れている。

ポケットを漁っても、あるのは小銭ばかり。
どうするかな、と思ったところに、ちょうど、いい具合に金を持ってそうな男が向こうからやってくるのが目に付いた。
黒いスーツに身を包んだ長身の男だ。
(やるか……)
小遣い稼ぎのスリ。
家庭が複雑でグレ気味の高耶は、それが取り立てて悪いことだとは思わない。
大人なんて、もっと汚いことをいくらでもやっているのだから。




すれ違いざま、急に具合が悪くなったフリをし、よろけてみせると、男は心配そうな声で聞いてきた。
鳶色の瞳が、間近で高耶を覗き込む。
「大丈夫ですか?」
「すみません……大丈夫です」
しおらしい声をつくって、素早く立ち去る。ちょろいもんだ。

逃げるように駆け込んだ路地裏で、見るからに高そうな黒い皮の財布を手にして、高耶はにやっと笑った。
だが、中を覗いて、思わず眉を顰める。
あの男が、金持ちそうだからとあたりをつけたのは確かだが、中には某社のゴールドカードと、予想以上に多額の現金が入っていたからだ。

いくら悪ぶってはいても、所詮、まだ子供である。動揺を隠せない高耶の背に、ふいに声がかけられた。
「……学校の制服のままで、白昼堂々とスリを働くなんて……随分、度胸がありますね、仰木高耶さん」
「……!」
本名を呼ばれて、驚いたように振り向くと、さっきの男が微笑んでいる。
「なんでっ……」
男の手には、いつのまにか高耶の学生証が握られていた。
高耶はギリッと唇を噛み締める。
学生証を盗られていたことに、まったく気づかなかった……しくじった。

「……悪かったよ。返せばいいんだろ、ほらよ」
高耶は財布を男に差し出した。男は黙って財布を受け取ったが、学生証を返すつもりはないらしく、無言で高耶を見つめている。
「……っだよ!なんか文句あんのかよ。なんなら、今すぐ警察でもなんでも呼んで、つきだしゃいいだろ」
イライラと不貞腐れた口調で開き直った高耶に、ようやく男は口を開いた。
「その必要はありませんよ」
男が上着の内ポケットから出して見せたのは、警察手帳だった。

本庁麻薬捜査課警部補佐官、直江信綱。
よりによって、警察関係者の財布を盗んだとは……高耶は内心、舌打ちした。
(ついてねえ……)
最悪の夏休みだ。

男は、高耶の制服のシャツの胸を示して、
「その中に入っているのは、煙草でしょう……煙草は未成年の体にはよくないんですよ。詳しく話を聞きたいから、パトカーまで来て頂けますか?」





肩に腕を回されて、連行と云うよりは、エスコートされるように路地を抜け、連れて来られたのは、とあるビルの屋内駐車場に停められた一台の乗用車だった。
それもスモークガラス張りのダークグリーンの高級車である。
車内の様子は、外からはまったく見えない。
普通のパトカーではないので、高耶が怪訝な顔をしていると、男は微笑んだ。
「覆面パトカーですよ。私は麻薬捜査がメインなので、覆面パトカーを利用することが多いんです」
そうして、開いたドアから、運転席に放置してあったサイレンを取り上げて見せた。

「さあ、乗って下さい」
促されるまま、高耶が観念したように助手席に乗り込むと、早速、尋問が始まった。




男は学生証を改めて確認するように、
「仰木高耶さん、××中学2年生。家は××団地×号室。煙草はいつから吸っているんですか?さっきも云いましたが、法律で決まっているのはもちろんですが、煙草は未成年の体には本当によくないんですよ。やめたほうがいい」
「………」
高耶は何も答えず、不貞腐れたようにそっぽを向いている。その口端が、少し切れて腫れているのを、男は見逃さなかった。

ふいに、男の手が伸びて細い顎を掴んだ。驚いたのは高耶だ。
「何す……!」
「……これは殴られた痕ですね。それもごく最近に。いったい誰にやられたんです?」
いちばん云われたくないことを云われて、カッときた高耶は手を振り払いざまに叫んだ。
「あんたに関係ねーだろ!」
その言葉に、男は一瞬、黙り込んだ。関係ない……出会ったばかりだと云うのに、少年に投げかけられたその言葉が、日頃、冷静なこの男の何かを切れさせた。
車内に一瞬、嫌な沈黙が流れる。


やがて、男が徐に口を開いた。
「関係ない、ですか……わかりました。それなら、関係者になればいいわけですね?」
その言葉に、何か不穏なものを感じて、思わず高耶は男から身を引いた。
「なっ……」
「だから、云った通りです。関係を持つんですよ、あなたと」
男が腕を伸ばすや否や、本能で身の危険を感じた高耶は、咄嗟に車から降りようとドアの取っ手に手をかけた。
だが、有無をいわさず抑えつけられ、挙句に後ろ手に手錠をかけられてしまった。

「なっ、何すんだよっ、外せよ!」
喚く高耶に、
「まだ取調べが終わってもいないのに、逃げようとするからですよ。ほら、そんなに暴れると手首を怪我してしまいますよ」
暴れる高耶を宥めつつ、諭すように云う。
「それに、いいですか?未成年とはいえ、スリは立派な犯罪です。あなたからは逃亡の意志がありありと感じられますから、取調べが終わるまで、不自由でしょうけれどしばらく我慢して下さい」

ギリッと唇を噛み締める高耶に、男はしゃあしゃあと、
「さっきのあの手際だと、スリを働いたのは、どうやらはじめてではなさそうですね。余罪があるのではないですか?他に盗んだ財布を持ってないか、煙草以外にもシンナーや麻薬などを所持していないか。徹底的に調べさせてもらいますから、覚悟して下さいね。ああ、取調べの最中に騒がれても困りますから……」
そして、手早く取り出したハンカチで猿轡まで噛まされてしまった。

「ンンーッ!ンーッ!」
助手席のシートを高耶ごと倒して、その上にのしかかりながら、男は笑った。
「いい子で捜査に協力してくれたら、後でご褒美をあげますよ」




まずは、ボディチェックからはじめましょうか。
男は笑って、シートに無理矢理横たえた細い体に腕を伸ばした。
胸ポケットの煙草を取り出す際、男の指が意図的にシャツの上から胸の突起を軽く引っかくように触れると、それだけで高耶はビクンと身を震わせる。
その反応に、男の口端が一瞬、楽しげに歪んだ。

自由を奪った体から、悠々とシャツのボタンを外すと、まだ子供の面影を残す、未成熟の肢体があらわになる。
これからされることへの恐怖からか、激しく上下する薄い胸。滑らかなその胸に、むしゃぶりつきたい衝動を押さえきれずに、男は激しく顔を埋めた。
「……ッ!」
驚いた高耶が憐れにもがくが、後ろ手錠をかけられた上、大人の男の力にかなう筈もない。
生暖かいものが、首筋を、胸を這いまわる異様な感覚。無論、高耶にはまだそうした経験はなかったが、こう云うことは通常、男と女がするものではないのか。
(畜生……!)
男と無力な自分への怒りで、きつく瞑られた目許に悔し涙が滲んだ。

首筋から胸へと口づけを繰り返しながら、男の手は胸を脇腹を滑って下へと降りていき、制服のスラックスのポケットへと滑り込む。
「どうやら、ポケットには何も入っていないようですね」
差し入れられた手で、布地越しに敏感な箇所を撫で上げられて、細い体が、ビクンと仰け反る。執拗に弄ばれるうちに、ソレは形を変えはじめ、羞恥と屈辱のあまり、高耶はぼろぼろと涙を零す。

男の巧みな手管の前に、若い体はあまりに無力である。
意志とは裏腹に、強引に高められたモノの形をスラックスの上から辿りながら、男は楽しげに云った。
「おやおや、取調べの最中だと云うのに、感じてしまったんですか?こんなに大きくして……随分、淫らなひとですね。ああ、それとも、ココに何か隠しているとか?」


調べないければいけませんね。
男は笑って、徐にベルトに手をかけた。
後ろ手に拘束され、自由を奪われている高耶に逃れる術はない。あっけなくベルトを外され、ジッパーを下ろされ、下着ごと膝まで引きずり下ろされてしまう。
狂いそうなほどの羞恥と屈辱から顔を背けた高耶を見下ろして、男は揶揄るように囁いた。
「男に弄られて、こんなに酷いことされているのに喜んでいる……悪い子だ」

あなたが悪い子だと云う証拠を、残しておきましょうか。
そうして、ダッシュボードから取り出したポラロイドカメラのファインダーを容赦なく、あられもなく晒された肢体に向けた。
嫌がる顎が押さえ付けられるのと同時に、激しく焚かれるフラッシュ。
閃光のような光とともに、高耶の淫らな姿が次々と印画紙に焼き付けられていく。

「この写真は、あなたが更正できる日まで、私が大切に預かっておきますよ」
男は微笑んで、たった今撮影されたばかりのポラロイド写真を高耶の目の前に翳して見せた。

やがて、カメラを置いた男は、後部シートに置かれていたトランクから、医者が使うようなゴムの手袋と、ワセリンの入った容器を取り上げた。
「制服のポケットには何も入っていませんでしたが、もしかしたら体の中に何かを隠しているかもしれませんからね。体内にこっそり麻薬を隠し持つ連中は多いんですよ」
楽しげな口調に、男がしようとしていることを悟って、高耶の顔が一気に青ざめる。

あなたの体から、ドラッグが出てきた時、証拠品に指紋をつけてはいけませんからね。
男はクスクスと笑って手袋を嵌めると、その指にたっぷりとワセリンを取った。
「ンーッ!ンーッ!!」
猛烈に暴れ出した高耶に、男は、捜査の妨害をする悪い子にはこうですよとばかりに、勃ちあがったままで放置されていたペニスを無造作に掴む。
「……ッ!」
急所を掴まれて、ヒッと一瞬、息を止めた高耶に、男は諭すように、
「これは取調べなんですから、協力して頂かないと。逆らえば、公務執行妨害になりますよ?それに、あなただって痛い思いはしたくないでしょう?いい子だから、力を抜いて下さい」
男は囁いて、細い体を抱き込み、後ろに回した手を滑らかな双丘の狭間に這わせた。

割れ目を滑る指先が、固く閉じた処女の蕾を探りあてる。
ワセリンに塗れた男の指は、数回、円を描くようにゆるゆると辿ったかと思うと、やがて、体内へと沈められた。
「ンン……!」
自分の体を割って、容赦なく侵入してくる異物の感触に、細い全身が強張る。
男は傷つけないよう慎重に、根元までいちばん長い指を沈めると、内部を探るようにゆっくりと蠢かせた。
「ンン……ン……ッ」
痛みと屈辱で強張る襞を、男はあやすように、沈めた指先で淫らに攻めたてながら、

「どうやら、ココにも何も隠していないようですが……もしかしたら、指の届かない奥の方に隠しているかもしれませんからね。俺が体で調べてさしあげますよ」
悠々と自らのスーツの前のはだけ、猛る凶器を取り出す男に、泣きながら嫌々をする高耶に、男は微笑んで、
「最初は少しだけ痛いかもしれませんが、馴れればすぐによくなりますよ。それに、処女を失くす痛みは一生に一度だけですから……その体でしっかりと味わって下さいね」
そうして、男は指を引き抜いて手袋を外すと、細い体をシートに強引にうつ伏せにさせて腰を突き出させ、あらわになった蕾に、猛る凶器を押し当てた。


「───ッ!」
狭い車内に、声にならない絶叫が迸った。
塗り込められたワセリンが潤滑剤となって、男の侵入を助けたものの、ろくに馴らさず突き入れられ、無理矢理、破瓜を迎えさせられた高耶には、快楽などあろう筈もない。
高耶の感じている苦痛とは裏腹に、欲望の楔を根元まで打ち込んで、凄まじい快楽に包まれた男の口からは、思わず感嘆の吐息が漏れる。

驚くほど狭く、絡みつく熱い襞、失神寸前で耐える背。
「高耶さん……」
名前を呼ぶと、細い体が一瞬ビクッと震え、びっちりと男を銜え込んだ襞がきゅっと締まった。その僅かな動きでさえも、眩暈がするほどの快楽を男にもたらす。
体を真っ二つにされるような苦痛を必死で堪える高耶を宥めるように、男の手が若いペニスへと回されて、ゆるゆると撫でてやると、細い体がビクンと跳ねた。

「ンン……ン……ッ」
前後を責められ、成す術なく啜り泣く体がいとおしく、男が最奥まで繋がったままの腰を優しく揺すってやると、猿轡をされたままの唇から、声にならない喘ぎが漏れる。
「高耶さん……高耶さん……」
何度も名前を呼ばれ、揺さぶられているうちに、男を受け入れさせられている箇所から苦痛以外の痺れにも似た何かが込み上げてきて、高耶は涙に濡れた目を見開いた。

高耶の体の変化を確かにその身で感じて、男が微笑んだ。
破瓜のショックと激痛で一度は萎えた若いペニスが、男の掌の中で再び勃ちあがり、透明な雫を零しはじめる。
「よくなってきましたね……」
耳元に甘い声で淫らに囁かれて、嫌々と泣きながら首を振っても、肉でひとつに繋がっている男には、何もかもわかってしまう。
「嘘をついても駄目ですよ。ほら、あなたのぼうやは気持ちよくて、こんなに嬉し涙を零してる」
そうして、男は先走りに濡れる鈴口を指先でゆるゆると辿ってみせた。

敏感な箇所を巧みな指で弄ばれて、ビクビクと震える細い体。
「あなたはどうやら、何も隠してはいなかったようだから、いい子で捜査に協力してくれたご褒美に、もっとヨクしてあげましょうね」
そう囁いて、男はゆっくりと抽送を開始した。



熱く脈打つモノが、自分の体内を生き物のように出入りする。
深深と押し入られ、敏感な襞を抉るように犯される度、声にならない悲鳴とともに、細い体がビクンと撓る。
引き裂かれた箇所から、じわじわと背筋を駆け登ってくる、言葉では言い表すことのできない痺れにも似た苦痛以外の何か。
受け入れることの快楽を、嫌でもその身に嫌でも教え込まれて、高耶のプライドはズタズタだった。

男の身で男に犯されているのに感じている……最悪の自分。
でも、我慢できない。
激しすぎる抽送に、男の手のひらの中で、高耶のペニスは弾けそうなほど、パンパンに撓りかえり、男が手を放せば、今にも放ってしまいそうだ。
内腿が、悲鳴をあげている。
覚えたての自慰とは、比べ物にならない快楽。
出したくて、思いきりブチまけたくて、それ以外考えられない。

高耶が勝手に射精してしまわないよう、根元を指できつく押さえたまま、男は欲望のまま腰を使い、存分に快楽を貪りながら、されるままの耳朶に囁いた。
「高耶さん……イきたい?このぼうやから、しろいの出したい?」
高耶が既に限界なことをわかっていて、わざと淫らに問いかけると、高耶は屈辱に啜り泣きながらも頷くしかなかった。
「イかせてほしかったら、約束して下さい」
男は耳朶に囁いた。
煙草をやめること、二度とスリはしないこと。そして。

これから、高耶を自分の保護観察下に置くと、男は告げた。
呼び出しには何があっても応じること。呼び出された際は、その都度、今回と同じボディチェックを受けること……。
幸い、あなたの学校も住所もわかっていますからね。
家族やお友達に、さっきの写真をばらまかれたくはないでしょう?

耳元に告げられるあまりに理不尽なその言葉にも、泣きながら高耶は頷くしかなかった。
「……いい子ですね、高耶さん。一緒にイきましょうね」
熱い囁きとともに、男の腰遣いが早くなった。
前後を壊れるほど責め立てられて、あまりの激しさについていけずに、一瞬、目の前が白くなる。
「……ッ!」
声にならない悲鳴とともに、高耶が男の手の中でついに弾けた時、一際深く押し入ってきた男の凶器から、自分の体の深いところへドクドクと熱いものが注ぎ込まれるのを感じて、高耶の目から涙が零れた。











「……!」
高耶が目覚めた時、自分の上には男のジャケットがかけられ、すでに日が傾きかけているのに気がついた。
運転席の男が、微笑みかける。
「ああ、気がつきましたか?よく眠っていましたよ」
「……ッ、」
眠るつもりなどなかったのに……。
はだけられていた服も、知らないうちに整えられている。
高耶は唇を噛み締めた。

自業自得とはいえ、この男と出会い、無理矢理犯されたあの日から、男の呼び出しは執拗に続いていた。淫らな写真で脅されているとはいえ、呼び出しに応じてしまう自分が、高耶は悔しくてたまらなかった。
自分にあんなことをするこの男を、殺してやりたい。絶対に許さない。
この男が憎くてたまらない……それなのに。

命じられるまま、男の元へと通って、女のように犯される自分。
こんなのは絶対におかしい。狂っている。

高耶の中に芽生えつつある男への感情。
それが、いったい何なのかは今の高耶にはまだわからない。

連日の激しい行為で、少し体重が落ちてしまったのだろう、疲れたような横顔。
それがより男の欲情をそそる。

視線を感じた高耶が、男を睨みつけてくる。
「……いいのかよ」
「なんですか?」
すると、赤くなった高耶が自棄気味に叫んだ。
「もう終わったんだろ。帰ってもいいかって聞いてんだよ!」
すると、男はにっこりと微笑んで、
「ええ。どうやら、今日も何も悪いものは持っていなかったようですしね。それに、今日は取調べにも進んで協力して下さいましたし」
俺の上に自分からまたがって……それは上手に飲み込んでくれましたからね?

その言葉に、カッと顔を赤くした高耶が、助手席のドアに手をかけ、シートから立ち上がろうとした。
途端、声にならない声をあげて、再びシートに沈んでしまう。
「大丈夫ですか?今日の取調べは激しかったですからね……歩けやしませんよ。送っていきましょう」
「……っだよっ!いらねーよ、歩いて帰れる!」
高耶は喚いたが、男は有無を云わせず、エンジンをかけて車を発進させた。




高耶の住む公団の入り口で車を止め、男は不貞腐れたように助手席のシートに沈んでいる横顔に微笑みかけた。
「また明日……同じ時間にあの場所で」
返事もせずに降りかかる細い腕を掴んで、男は念を押すように名前を呼ぶ。
「高耶さん?」
こちらを見ようともせずに、高耶は云った。
「……わかってるよ!」

体がつらいだろうに。
いきがって早足で遠ざかる背を見送りながら、男の中の悪魔が囁く。

このままこのひとを、いったいいつまで自由にさせておく?
あのひとを知れば、誰もが欲しくなるに違いないのに。
パーラメントに火をつけ、深く吸い込むとエンジンをかけ、滑るようにウィンダムを発進させながら、男は思った。

やはり、用意しなければ。
あのひとに相応しい、あのひとの為の檻を。



Das Ende...?




宿体の椎名が例によって書けない病なので、変わりに出てきました黒417ですv(殴打
いや、もう本当に書けないんス…ι とりあえずリハビリがてら、当サイト初のなんちゃって刑事もの(?)を…(涙;
ってか、この直江、来る日も来る日も高耶さんの取調べばっかしてるようですが、本業の麻薬捜査はいったいいつ、やってるんでせうね?(笑;
まあ、高耶さんに勝る麻薬はないらしいのでv直江にはこれからも体を張って高耶さんをヒイヒイゆわせつつ更正させてあげていただきたいですv
今のところ、取調べの為に数時間、車に連れ込む=プチラチ(爆)で済んでいるようですが、この直江の勢いだと、そのうち完全にラチッちゃいそーですね(笑)それもまたよし、ですわ(殴打

それでは読んで下さってありがとうございました(^-^;)