UNTITLED 4
BY SHIINA
授業を終えて、玄関を出た途端、飛び込んで来たのは、校門の前の女子生徒の人だかり……
そこにはやっぱり、あいつの姿があった。いつもの黒服に黒いサングラス。
長身の直江は、何もしていなくてもかなり目立つ。……会うのは1ヶ月ぶりだろうか?
このところ、寺と会社の仕事で忙殺されていた直江が『久しぶりに休みが取れたから、この週末を俺に下さい』と、突然電話してきたのが昨日の夜。にしても直江の奴、校門の真ん前に乗り付けるなって、いつも云ってるのに。
……ったく、何度云ったらわかんだよ。
しかも、わざわざ車を降りて待っているものだから、女がまわりを取り囲んでえらい騒ぎになっている。オレが近づくと、直江は徐にサングラスを外して、にっこりと微笑んだ。
「……お久しぶりです。高耶さん」
助手席に乗り込んで、ドアを閉めた途端、いきなり抱き寄せられて、息ができないぐらい激しくキスされた。
驚いて逃れようとしたけど、きつく押さえ込まれて動けない。スモークガラスで、外から見えないのはわかってるけど、まわりには大勢、人がいるのに……!
「ん……う、」
こういうのを切羽詰まったキス……、とでも云うのだろうか?
ほんの一瞬前まで見せていた、穏やかな笑顔はどこへやら、尋常でない雰囲気にオレは抵抗すらできず、されるままだった。やっと解放された時は、オレはもう肩で息をしていた。
「……お前、なあ!!」
本当に窒息するかと思った。それに車のまわりには大勢の女がいて、興味深々で覗き込もうとしている。
いくら外からは見えないってわかってても、はずかしーんだよ!!とかなんとか、思いきり文句を云おうとしたら、ごく間近に覗き込む、あまりに真剣な瞳に、何も云えなくなってしまった。
「高耶さん……会いたかった。会いたくて会いたくて……気が狂いそうでしたよ」
「………」
……ったく。どうしてこいつは、いつもいつも!そういうことをさらっと云えるんだ?さらに直江は思いつめた瞳で、
「……駄目です、我慢できそうにない。ホテルを取ってあります。高耶さん、今日はゆっくり寝かせてなんてあげませんよ。一晩中つきあってもらいますから、そのつもりで覚悟して下さいね」
「………」呆然としたオレが何か云う前に、もう一度激しくキスされて、……それから直江は何ごともなかったように、車のエンジンをかけた。
直江はしばらく無言で車を走らせた後、駅前に出来たばかりのホテルのパーキングに車を停めた。
チェックインを済ませた直江に、半ば引きずられるようにエレベーターに乗せられて、向かったのは最上階のスイートルーム。
鍵を開け、室内に入る。
ドアが閉まったと同時に、オレはもう直江の腕の中に捕らえられていた。激しく降ってくるキスの雨から逃れようとしても、ドアと直江の間に挟まれて、動けない。
昂った直江のものが腹に当たって、オレは真っ赤になった。「高耶さん……会いたかった……!すみません、今日は優しくできないかもしれない……」
「直──江、……ッ」そのまま、もつれるように寝室に入ると、ベッドに押し倒された。すぐに直江がのしかかってくる。
いつも強引と云えば強引だけど……それでも、こんなに荒っぽい直江は、はじめてかもしれない。あっと云う間に着ていたものを剥ぎ取られ、激しく唇を貪られて、わけがわからなくなっていると、直江は強い力でオレを俯せにして……
その直後、突然襲った異様な感覚にオレは悲鳴を上げていた。直江が、オレのそこに顔を寄せて、舌を這わせてる!シャワーも浴びてないのに、こんなの嫌だ!
「や、やだ……ッ、やめっ……」
何とか逃れようとしても、直江にしっかりと腰を押さえ付けられて、動けない。
「アアッ、や……直江ぇ!」
直江が舌を使って、オレの中に直接唾液を送り込む。その上、今度はいきなり指を差し込まれた。
「──ッ!」指とは云え、久しぶりにそこに異物を飲み込まされて、体が竦んだ。
有無をいわさず、さらにもう一本飲み込まされる。
「ああッ……や……痛い、なお……」「高耶さん……、力を抜いて……」
……んなこと云ったって!オレは子供のように首を振り、必死に無理だと訴えるしかなかった。
「高耶さん……、」
直江はオレの中に潜り込ませた指を、バラバラに動かしながら、もう片方の手でオレの前を握り込んだ。
「アッ……、」敏感な内壁を擦られ、前を宥められて、体から力が抜けた。それを見て取ったのか、入れられたのと同じ早さで指が引き抜かれた。
そして有無をいわさず仰向けにされて、両膝の裏を掴まれ、胸につく程折り曲げられた。……直江が入ってくる──朦朧とした頭でそう思った時、熱く昂ったものが俺のそこに押しあてられた。
いくら指で馴らされたと云っても、申し訳程度だ。
あまりに性急な行為に、体がついていけない。こんなの無理だと思った。でも、唾液で濡らされたそこは、先端の侵入を許してしまい──その直後、圧倒的な力で一気に奥まで貫ぬかれた。
「!!」
ほとんど、無理矢理突き入れられた衝撃で、しばらくの間、声も出なかった。
「高耶さん……、」
そのまま直江が上半身を倒して、キスしてきた。
そのせいで、体の中の直江の角度がきつくなって、オレは思わず悲鳴を上げてしまった。「痛─い……、なおっ……、」
涙に霞む目で訴えると、直江はしばらくの間、動かないでいてくれたけど……、
「すみません──高耶さん、……後で死ぬほどよくしてあげますから──少しだけ我慢して」
そう云って、もう一度キスされて……それから、直江は半ば強引に動き出した。突き入れられたものが、ギリギリまで引き抜かれて、また入れられて……
「アアッ!……ア!……やめ、……!直江ッ……なおっ……」
声なんか出したくないけど、声を殺すことなんかできない。痛いのか、感じてるのかも、わからなかった。人形のようにガクガクと揺さぶられて、あまりの激しさについていけなくなると、失神なんかさせないとでも云うように、いきなり前を握られて、一度に前と後ろを責められて……
「ああッ!なお……なお・えぇ……も……駄目、出……」
耐えきれず、オレは直江の手の中に放ってしまった。
同時に、オレのそこが直江のものを激しく締め付けて……小さく呻いた直江が、ひときわ強く腰を打ちつけ、自分の中に熱いものが注がれるのを感じた瞬間……スーッと意識が遠くなった。
オレが気を失っていたのは、ほんのわずかな時間だったらしい。
目を開けると、直江の腕の中で、口移しでワインを飲まされていた。
「……なお…え、」オレが名前を呼ぶと、直江は心底ホッとしたと云うように、
「よかった、気がついたんですね……すみません。その、久しぶりで──手加減できなくて……、つらかったですか?」「……ばか」
さっきまでの激しさはどこへやら、壊れものを扱うように、直江は優しくオレを抱きしめてきた。
「……大丈夫ですか?──もしかして高耶さん、怒ってますか?」本当は大丈夫じゃねーとか、される方の身にもなってみろとか云いたかったけど……でも、しょげた様子の直江を見ると、そんな意地悪を云う気にはなれなかった。
オレは、怒ってねーし、大丈夫だから心配すんな、と云うかわりに、自分から直江の背に腕をまわした。すると直江は、それ以上の力でオレを抱きかえしてくれた。
「高耶さん……優しいんですね」
直江は微笑って、何度も、オレが好きな触れるだけの、羽のようなキスをくれて……だんだん、そのキスが激しくなってくるのに、オレが抗える筈もなかった。悔しいけど、駄目だ。どうしてこいつ……こんなにキスが上手いんだよ……
キスだけで朦朧となってしまったオレの耳元に、直江が囁いた。
「……高耶さん──今度はうんと優しくしますから。……今日はずっと、あなたを抱きますよ」その言葉に、オレは、ぼんやりと頷くしかなかった。
To Be Continued...