昼下がりの・・・


BY てりーさま



"ピンポーン"と鳴り響いたインターフォンに、直江は仕事の手を止めて時計を見る。時計は午後2時を指していた。
 時間を確かめたとたん、直江はものすごい勢いで玄関へと向かう。
 この時間にインターフォンを鳴らす人といえば一人しかいないからだ。
 「ただいまぁっ」
 「お帰りなさい、高耶さん」
 直江の思ったとおり、そこには幼稚園スモックを着て黄色い鞄を掛けた小さな子供が立っていた。
 この子供こそ直江が溺愛している仰木高耶その人である。
 高耶が靴を脱ぎ終わると、直江はいつものようにその腕に高耶を抱き上げた。
 「ねぇねぇ、なおえ」
 「何ですか?」
 高耶は一生懸命何かを直江に伝えようとしていた。直江は高耶の頬にキスを落としながら尋ねる。
 「きょうね、おひなさまだったの。それでねっ、おだりいさまがなおえみたくかっこよかったのっ」
 それで、これを貰ったのと高耶は小さい手に持っていた紙の包みを直江に差し出した。
 リビングについた直江は、そっと高耶をソファの上に降ろし、包みを受け取る。
 紙の中には雛あられが入っていた。
 「ああ、今日は3月3日でしたね」
 「そうなの!よーちえんでねっ、おひなさまみたの!」
 にこにこしながら、今日あったことを話してくれる高耶に直江は愛しさを隠しきれない。興奮しているのか、高耶の頬もうなじもピンク色に上気している。すこし舌足らずに可愛く言葉を紡ぐ唇は、真っ赤に熟れたサクランボのようだった。
 「そうですか。それは良かったですね。…このお菓子を食べましょうか」
 「うんっ!」
 床には届かない足をバタバタさせながら、高耶はにこにことしていた。今日は本当に楽しそうだな、と思いながら直江はキッチンに向かう。高耶に飲み物を出すために。
 何がいいだろうか、と冷蔵庫の中を物色していた直江は、高耶の声に思わず頭をぶつけた。
 「それでねっ、なおえとたかやはねっ、おだりいさまとおひなさまなのっ!」
 「たっ、高耶さんっ!?」
 どんっ、という軽い衝撃が直江を襲った。脚に高耶が抱きついたのだ。
 直江は苦笑しながら、高耶に視線を合わせる。
 「どうして、お内裏様とお雛様なんですか?」
 「えっとね、あやこせんせーがっ、いちばんうえのふたりはけっこんするんだよ、っていってたの!たかやはなおえとけっこんするからっ、おだりいさまとおひなさまなの!」
 言うが早いか、高耶は直江に顔を近づけてきた。
 「なおえ、だいすきっ!」
 そして、高耶は直江にキスをした。もちろん唇に。
 「たっ、高耶さんっ!!どこでこんな事覚えてきたんですか!?」
 直江はまだ高耶の唇にはキスをしていなかった。高耶がまだ幼すぎるからと自らを律して、頬へのキスに留めていたのだ。誰かが高耶に唇へのキスを教えたのかと思うと、直江は平常心ではいられない。
 「ちあきくんがね、ほんとうにすきなひとにはこうするんだっておしえてくれたの」
 「千秋君は高耶さんにキスしたんですかっ!?」
 幼稚園児のままごとだとわかってはいても、直江には到底許せなかった。高耶のファーストキスを貰うのは自分だと心に決めていたからである。
 「してないよー?されそうになったけど」
 高耶の答えに、直江は思わず安堵のため息をついた。こんなに可愛い高耶である。いつ誰の毒牙にかかってもおかしくはない。高耶が好いているのは直江だとわかってはいても、もしかしたら誰かに奪われてしまうかもしれない。
 直江の妄想は止まるところを知らなかった。
 幼稚園の帰りに誰かに攫われてしまったらどうしよう、いやもしかしたら幼稚園の先生に何かされるかもしれない、何せこんなに高耶さんは可愛いのだから。
 「なおえ?」
 自分の肩を掴んだきり、何も言わない直江に高耶は首を傾げながら呼びかける。けれど、妄想に回っている直江には高耶の声も聞こえない。
 ―そういえば高耶さんは俺と結婚するとさっき言ったよな。ということは―
 「高耶さんっ!」
 いきなり大きな声を出されて、高耶はびっくりしてしまう。大きな目を見開いて、きょとんとしている。
 「今から結婚しましょう!」
 ―絶対幸せにしますから!―
 ぎゅっと高耶を抱きしめ、直江は甘い声で囁いた。
 「うん!」
 きっと高耶にはきちんと理解できていないのだろうと思っても、これ以上待つ事が直江にはできない。
 「では、今から結婚の儀式をしましょうね」
 高耶を抱き上げ、直江はベッドルームに入った。
 リビングのテーブルの上には忘れ去られたお菓子がちょこんと置かれていた。


 ベッドに腰を下ろして、直江は高耶を膝の上に座らせた。高耶もなにやら神妙な顔をして、直江の行動を見守っていた。
 「高耶さん…」
 直江は高耶の顎を軽く上に向かせると、そのまま口づけをする。高耶の唇はやわらかかった。
 緩く結ばれていた高耶の唇を、直江は舌でこじ開ける。高耶の舌をからめとったかと思うと、それをそっと吸い上げる。直江は高耶の口腔を侵略した。
 気の済むまで貪り、直江はそっと唇を放した。高耶の顔は真っ赤になり、目はとろんと潤んでいた。こんなに小さくてもちゃんと感じているのだ。
 「これが、結婚の儀式の一つ目です」
 「うん……」
 高耶は直江の言葉にこくりと頷いた。
 「では、儀式の二つ目に行きましょうか」
 直江はそっと高耶の服を脱がせ始める。キスの余韻にぼぅっとしていた高耶も、ようやく意識が戻ってきたらしい。
 「なおえ、どうしてふくをぬぐの?たかや、おふろにはいらないよ?」
 「次の儀式はお洋服を脱がないと駄目なんですよ」
 「ふーん」
 服を脱ぐといったら、風呂にはいることしか知らない高耶にこれ以上の行為をする事に直江は躊躇を覚えた。けれどそれよりも、直江は高耶がこれから先にどういう反応をするのか見たかった。
 洋服を脱がせると、ツンと立ちあがった胸の赤い飾りや、まだまだ小さい高耶自身が露わになる。直江は高耶の裸に興奮している自分を自覚していた。もう、立ち止まることはできそうになかった。
 直江は高耶の胸の飾りを口に含んで、押しつぶしたり舐めたりする。
 「ひあっ…、なおえ、なんかへんだよぉ…っ」
 幼い高耶には、今自分の身体を駆け抜けている物が快感だとわからない。未知の感覚に、身体をふるわせることしかできなかった。
 直江は胸から平坦な腹、臍と、高耶の身体を攻略していく。そして、両足の間にある高耶自身を口に含んだ。
 「やだぁっ、なおえ!きたないよぉ…っ」
 既に高耶はぼろぼろと涙をこぼしていた。身体を駆け抜ける快感と、直江にそこを含まれることで精神的に限界にきていたのだ。
 「高耶さんの身体で汚い所なんてありません」
 小さくても立派な男である。高耶のそこを舐めているうちにだんだんと立ちあがってくる。
 「ひぁっ、なおえっ…、からだが、へんなの…っ」
 直江は高耶のさきの割れ目に舌を這わせ、そして高耶自身を吸い上げた。
 「ひぁぁーーーっ…」
 甲高い声と共に、高耶の身体の力が抜ける。イったのだ。まだ小さいのでしろいのを出すことは無かったけれども。
 荒い息をついている高耶の髪の毛を梳いて、直江は高耶に囁いた。
 「これが、二つ目の儀式ですよ。本当はもう一つあるんですが、今日はもう止めておきましょうね」
 高耶の頬にはくっきりと涙の跡が残っている。さすがの直江もこれ以上高耶に無体を働く事ができなかった。
 「たかや、まだ、なおえ、と、けっこんしてないの?」
 荒い息の中、高耶は必死に言葉を紡ぐ。その様子さえ痛々しくて、直江は手を出した自分に激しい嫌悪感を感じていた。
 「まだ、高耶さんには早かったんです。だから、もう少し大きくなってから結婚しましょうね」
 「いやっ!たかやはなおえとけっこんするのっ!」
 力の入らない身体で、高耶は直江に抱きついた。
 「だから、なおえ…、して?」
 直江を必死に見上げて、高耶は懇願する。そんなに必死に見られて、直江が先に進まないはずがない。
 もうどうなってもかまわない、高耶を自分の物にしたいという気持ちに歯止めを掛ける物は何もない。当の高耶自身がそう望んでいるのだ。直江は考えることを放棄した。
 「高耶さん…」
 必死に自分を見上げている高耶に軽いキスを落として、直江は指を高耶の後ろに這わせていった。


 翌日、電話を掛けている幸せそうな男がいた。
 「はい。高耶は具合が悪いので休ませていただきます。…はい、よろしくお願いします」
 電話を切った後、直江はすぐにベッドルームに戻った。
 「高耶さん、おはようございます」
 「おはよう…」
 ベッドにはブカブカな直江のパジャマを着せられた高耶がちょこんと座っていた。



 
おわり


*作者様コメント*
肝心なところ書いてなくて申し訳ないです;;
さすがにちょっとかわいそうで・・・、でもヤってるんですけれど(汗)

*椎名コメント*
てりー様からの素晴らしい頂き物です♪園児に欲情する直江……(苦笑)
肝心なところが;…でもヤッてるんですね♪
ブカブカな直江のパジャマを着せられてちょこんと座る高耶さん。それこそお雛様♪♪

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てりーさま、素晴らしい作品をありがとうございました!ぜひまた書いて下さいね♪


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