秘玩2〜雪の日・前編


BY 弘志さま



「へくちっ!」
高耶の小さなくしゃみに直江はマフラーを巻き直してやりながら、そっと冷たくなった頬に触れる。
「高耶さんそろそろ部屋に入りましょう…もう十分作りましたよ」
苦笑した直江の足元には膝上ほどの小さな雪だるまが、十八個・・・いつから作っていたのやら、直江が帰って来た時は十個並んでいた。高耶に急かされて直江が五つ高耶が三つで計十八個。
所用時間約一時間・・・。
「ほら、こんなに冷えて風邪を引いてしまいますよ?」
「あと少しだけ〜」
寒さで赤くなた頬に黒目がちな大きな瞳で見つめられて、くらくらする頭を押さえて立ち上がる。
「おねがい〜っ」
「うっ・・・、だ、駄目です、また明日。ねっ?高耶さん」
「わかった〜、明日ぜったいやくそく」
約束の指切りと、ついでに約束のちゅうもして冷えた小さな身体を抱き上げた。

玄関を開けるなり、先程までの元気は何処へやら…
『さむかった〜っ』と直江の腕から飛び降りるとダイニングに飛び込んだ。
「直江〜、早く来て来て〜っ!」
「はいはい、ちょっと待ってください」
返事をしながらブーツを脱いで高耶の後に続くと帰って来た時に付けておいた暖房の温風が冷えた身体を包み込む。
そして庭に面した大きな窓の外に、たくさんの雪だるま。
「可愛い雪だるまがいっぱいですねー」
「うんっ!」
嬉しそうに窓に張り付いて雪だるまを見ている高耶に笑みがこぼれる。
「でもなおえー、雪だるま、かおないよ?」
高耶の視線まで腰を屈めて見た雪だるまはのっぺらぼう…
「あした、かお作ろうねっ!!」
「そうですね、のっぺらぼうでは可哀想ですからね。明日作ってあげましょう。
たしか冷蔵庫に顔になりそうな物があったから」
そういいながらキッチンへ向かうと、抜かりなく冷蔵庫をチェックして、高耶の為に少し甘いココアを用意する。
「熱いから気を付けてください、ちゃんと座ってね」
「うんっ」
雪だるまのよく見える位置にちょこんと座ると、直江とお揃いの温かなマグカップ両手で包み込んで、口を付ける。
「おいしいですか?」
「甘くて、おいしいよ。直江は飲まないの?」
首を傾げる高耶に『いえ、私は・・・』と言葉を止める。
「そうですね、高耶さんの飲んでるの一口くれますか?」
「うんっ!いいよっ」
直江にカップを渡そうと、立ち上がりかけて考え直して座り込む。
「直江、こっち来て」
『?』
甘えた声でお願いされて直江は立ち上がり高耶の横に座り込むとお尻で移動して来た高耶が自分のお気に入りポジションである、直江の足の間に座り込む。一番いい席の直江付きで高耶はいたく御機嫌である。
『これがしたかったのか・・・』
後ろから高耶を抱き締めてやりながら、
「高耶さん、ココアくださいね」
直江の言葉に当初の目的を思い出して、身体をひねってカップを渡す。
「あついから、気を付けてね」
先程自分が向けた言葉を高耶が真似るのを聞いて苦笑する。
「はい、判りました。かわいい高耶さん・・・」
手渡したカップを直江がフローリングに置くのを見て、不思議そうにしている高耶を膝に抱き上げる。
「直江?飲まないの?」
「もちろん、飲みますよ・・・では頂きます」
言葉と同時に少し赤みを帯びた高耶の唇を舐め上げた。
「んっ?んっ?」
言葉と合わない行動でいきなり口付けられて、驚いて目を丸くする。
「ココアじゃないの?」
「今頂いているんですよ、高耶さん風味のココア・・・甘い物は苦手なんですが、これなら幾らでもいけそうだ」
膝に乗せた高耶の少しだけ開いた唇を再度舐めると、おもむろに舌を差し入れる。
「あ・・・っ、んっ」
小さな吐息を洩らす唇を貪りながら、軟らかく温かな口内を余す事無くかき回す。
激しいキスに意識を飛ばしかける高耶を抱き締め直して囁いた。
「美味しいですよ・・・、下のココと同じくらい温かくて、軟らかい」
直江は今だ息の整わない高耶の隠された唇を洋服越しになぞると無意識に声が上がる。
「高耶さんはホントに感じやすいんですね・・・将来が楽しみですよ」
ほくそ笑んで高耶のズボンに手を掛けた。


To Be Continued...



*椎名コメント*
弘志様からの素晴しい頂き物です♪高耶さんの将来に期待しつつズボンに手をかける直江……(爆)この後の展開から目が離せませんね。ふふふ……(危)

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弘志様、続き楽しみに待ってますね!



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