「Ura_untitled 2002-1」
presented by SHIINA
人里離れた森の奥に佇む、医療法人上杉会付属のとある病院。法定伝染病や重度の麻薬中毒、精神病など、隔離が必要な患者が収容される、いわゆる隔離病院である。
窓には格子が嵌め込まれ、ドアノブは外側のみ。
文字通り、患者は外界から隔離され、医師が許可を出すまで、外に出ることは許されない。病室から外に出るには、誰かにドアを開けてもらうか、職員が所持しているIDカードをドア脇のカードリーダーに通してロックを解除する以外ない。
ふいに雲が途切れ、閉ざされた病室に柔らかな光が射し込んだ。
山の気候のせいだろうか。連日、深い霧が施設を覆うように立ち込め、今日のように病室に日が射すことは滅多にない。──忘れかけていた、太陽のにおい。
窓辺に立ち、ぼんやりと外を眺めていた高耶は、一瞬、眩し気に眼を細めた。高耶が発病と同時に家族と引き離され、この施設に強制入院させられてから、もう二ヶ月が過ぎていた。最初は煩わしかった左眼を被う包帯も、今ではあまり気にならなくなっている。片目だけで物を見ることも、もうすっかり慣れた。
コツコツと、聞き慣れたあの足音が近づいてくる。
高耶は時計を見た。時計の針は午後2時を差していた。治療の時間がやってきたのだ。
ぎゅっと眼を瞑り、高耶は思わず自分で自分の体を抱きしめる。
そう、あれは治療。
わかっているけど……
足音は、高耶の病室の前で止まった。ノックもなしに扉が開かれる。そして、いつものように直江医師が現れ、にっこりと微笑いかけた。
「起きていたんですね。気分はどうですか?」
高耶は俯いたまま、こちらを見ようとしなかった。直江医師は高耶の主治医で、日本で数少ない霊能力者であり、この病気の権威である。
そして高耶が罹患し、この施設に強制入院させられた日から、直に接触できる数少ない、殆ど唯一と云ってよい相手であった。
通常は看護士がするような、病室に食事を運んだり、ちょっとした身のまわりの世話なども、高耶の場合はすべて直江医師が行う。と云うのも、病いの毒に侵された高耶には、直江以外の力を持たない普通の人間は、近づくことさえできないからだ。
高耶が直江以外の人間と接触できるのは、月に一度の、蟲毒薬投与日のみだった。直江は、窓辺に立ち尽くしている高耶の背後に、ゆっくりと近づいた。
病室内には、外に出られない高耶の為に、テレビもパソコンもゲームも用意されている。だが、高耶がそれをしているところはあまり見たことがない。
来る日も来る日も、格子の隙間からぼんやりと窓の外を眺めている。霧に被われたこの土地では、何も楽しいものなどありはしないだろうに。死ぬまで訪れることのない、此処から出られる日を待っているのだろうか?「高耶さん……」
自分を呼ぶ直江のその声に、明らかなあの色を感じて、高耶の肩がビクッと震えた。
直江の手が両方の肩に置かれ、こちらを向くように促すが、それでも、高耶はかたくなに背を向けて俯いたままだった。
「高耶さん……?」
背後から細い体を抱きしめ、直江はその顔を覗き込んだ。そして諭すように、優しく囁いた。
「治療、しないとね……」
直江の手が背後から治療着の胸元に伸びる。指先がそっと胸の突起に触れると、高耶の唇から押し殺したような吐息が洩れた。直江は片手で胸の尖りを弄びながら、もう片手を下肢へと伸ばして、高耶のモノを服の上から擦りあげた。
「やっ……、」
すでに高耶のモノが熱くなっているのを確かめ、直江がクスッと笑った。治療着の上から、円を描くように撫でてやりながら、耳朶に囁く。
「もうこんなにして……感じているの?これは治療なのに。淫らなひとだ」
「ちがっ……」
真っ赤になって首を振り、力なく身を捩る高耶に、男は尚も囁いた。
「医者に嘘をつくなんて、いけない患者さんですねぇ」
「やっ……んっ、あっ……」
胸と前の両方を背後から弄ばれて、高耶が堪えきれずに直江の白衣を掴んだ。立っていられなくなった体は、軽々と抱き抱えられて、ベッドに横たえられた。治療着の紐を解き、前をはだけさせると、すぐにしなやかな裸体が露になる。羞恥で真っ赤になった高耶が眼を伏せた。
「高耶さん……」
何が怖いと云うのだろう。高耶の体は小刻みに震えていた。
「治療」という名目で直江が高耶を手に入れてから、一月。
以来、毎日のように、こうして抱いては喘がせている。事実、力を持つ直江に抱かれるようになって、高耶の体の毒は二割減った。
無論、この治療のことは、他の誰にも内緒だったけれど。……一日も早く此処を出て、家族の待つ家に帰りたいでしょう?
だったら、云うことを聞いて。
そう囁いて、無理矢理手に入れた。
毒を宿した愛しい体。
自分以外、この体に触れられる者はいない──高耶は自分のものだと云う、暗い歓喜。
後ろに回した指先を、そっと秘所に潜り込ませた。熱く狭い襞が直江の指を包む。
異物の侵入に声をあげ、仰け反る胸に口付ける。
「やっ……なおっ……、」
直江は慎重にもう一本飲み込ませながら、宥めるように囁く。
「いきなりじゃ痛いから……ココ、よく馴らさないとね……」
「ああっ……、」
二本の指で敏感な箇所を蹂躙されて、堪え切れずに高耶は直江の白衣の背にしがみついた。──直江は自分を抱いているのではない。これはあくまでも治療……そう、思っても若い体は与えられる快楽に耐えられない。
すっかり勃ちあがった高耶のモノの先端から透明な蜜が流れ出し、直江の白衣を濡らした。
「こんなに大きくして……このぼうやから少しでも、体の毒を出さないとね」
後ろを解すように指で蹂躙されながら、敏感なソレを握りこまれ、上下に扱かれて高耶の全身がビクビクと跳ねた。
直江は高耶の顔を見つめながら、高耶の襞と勃ちあがったモノを、両方の手と指で激しく犯す。
「ああっ……なおっ……も、出るッ、」
高耶が喘ぎながら叫び、直江の掌の中で高耶の分身がドクンと脈打ち、直後、生暖かい液体を吐き出した。
「ひっ……、」
ビクン、ビクンとその背が仰け反り、先端から断続的にしろい液体が吐き出される。同時に、二本の指を飲み込んでいる襞が、数秒ごとにきゅうっと収縮しては締めつけた。直江の掌を濡らした高耶の体液。
病に侵された彼のそれは、濃縮された毒の蜜。
禁断のその蜜を、直江はこともなげにぺろりと舐めあげ、真っ赤になっている高耶に向かってにっこりと笑った。
「……よくできましたね。じゃあ、今度はココを治療する番ですね」
直江が囁いて、埋め込んだ指を引き抜くと、高耶は真っ赤になった顔を隠すように俯いたまま、のろのろと自ら俯せになって、男を受け入れる姿勢を取った。「もう少し、脚を開いてくれないと、入れてあげられませんよ」
恥ずかしいその言葉に、涙を堪えながら、云われた通りにする。
大きく脚を広げ四つん這いになった高耶の曝された秘所に、直江は取り出した己のモノをあてがった。
途端、強張る体に、諭すように「力を抜いて」と囁く。
そのまま、細腰を掴んで逃れられないようにすると、直江はぐっと身を進めた。
「ウッ……」
狭い蕾に凶器の先端が沈んだ。敏感な襞を傷つけないよう慎重に、直江の凶器が打ち込まれていく。
「アアッ……!」
シーツを掴み、必死に苦痛を堪えてきた高耶の唇から、堪え切れない悲鳴が押し出される。
「なおっ……痛……ッ、」
「いい子だから、大丈夫だから──少しだけ我慢して」
宥めるように囁いて、直江は動きはじめた。
圧倒的な容量で奥まで貫かれて、突っ張っていた肘が玉砕し、高耶は涙に濡れた頬をシーツに押し付け、腰だけを直江に向かって捧げる形でガクガクと揺さぶられ続けた。直江のモノが自分の中を出たり入ったりするうちに、痛みではない何かがじわじわと其処から駆け登ってくる。高耶の意志と関係なく、肉体は少しでも引き裂かれる苦痛から逃れようと、苦痛の中に快楽を追いはじめる。こうなると、もう駄目だ。
「ああっ……なおっ……、」
うわごとのように何か口走っている自分。自分が何を云っているのか聞きたくない。認めたくない。でも、我慢できない……
「高耶さん……」
耳元で、直江があの声で自分の名を呼ぶ。それだけでドクン、と自分のモノが脈打つのを感じた。後ろを直江の熱く固い凶器で、前を直江の大きな掌で犯されて……
「いいっ……気持い、なおっ……出るっ」
「高耶……ッ!」
高耶は再び、しろい毒液を吐き出し、その身のいちばん奥深くに熱い体液を受け止めて、一瞬、意識を失った。意識を無くした高耶から身を引くと、蹂躙されて綻んだ蕾から己が放ったしろいものが糸を引いて滴った。
「高耶さん……」
ぐったりと突っ伏した高耶の体を抱き起こして、こちらを向かせる。
「………、」
数回、瞬きを繰り返し……気がついたのか、潤んだ右眼がぼんやりと直江を見上げた。
包帯に隠された、病の為に毒々しい深紅に染まった左眼も、同じように涙に濡れているだろう。
「高耶さん……」
直江はすべらかな頬に手をあて、そっとその唇に唇を押しあてた。
「明日は霊浴療法の日ですからね。今日は無理せずに、ここまでにしましょう」
コクンと頷く高耶に、淡々と行為の後始末をしてやり、治療着を着せ、乱れたベッドカバーを肩まで押し上げてやる。
「疲れたでしょう……夕食まで、少しお休みなさい」
直江医師が身支度を整え、出て行くと、再び病室には高耶一人が残された。
高耶の病室を後にして、廊下を歩く直江に、一人の医師が話しかけた。
「直江」
千秋医師だった。この病院内での直江の数少ない友人でもあり、薬学を専攻している。
「……仰木高耶のカルテ見たぜ」
「………」
「今月に入ってから、急に毒性が20%も減少してる。霊浴療法だけじゃありえない数値だ。……直接、力のある奴が解毒でもしない限りはな」
直江は千秋を無視して通りすぎようとする。
「待てよ。仰木高耶のそれまでの生活環境も調べた。ごく普通の高校生。どこか海外に旅行した記録もない。普通に暮らしてりゃ、どう考えたってこの病気になるわけがない。誰かが故意に感染させる以外はな──直江。お前は数年前からこの病気の研究をしていて、ウイルスも手許にあった。それに、お前は力を持っているし、感染した奴にも接触できる」
直江は立ち止まって千秋を見た。
「……何が云いたい?」
千秋が低い声で云った。
「お前、此処に来る前、松本病院にいただろう。仰木高耶と同じ街に」
伶俐な瞳が千秋を見据えた。
その口元に浮かぶのは、これまで千秋が見たことのない、これが自分の知っている直江なのかと云うほど、冷たい笑だった。
「お前、まさか……」
「……高耶さんの体の毒性が下がっているのは霊浴療法の成果だ。この病気には他に治療法などないだろう?つらい治療を、あのひとはよく耐えている。お前は薬学専攻だろう。俺に何か云う前に、少しでも副作用がなく、連日投与可能な蟲毒薬をつくってやれ。そうすればあのひとはこの施設を出て、普通の暮らしができる」
「お前……っ、」
直江はクスッと笑い、立ち去った。千秋にはもうわかってしまった。仰木高耶がこの病気に罹った理由が。
だが、それは公にはできない。
四百年続く上杉会の、おそらくは次期後継者になるだろう、直江を失うことはできないし、第一、すでに感染してしまった高耶を治療できるのは、直江しかいない。
力を持たない自分や他の医師は、彼に接触することすらできないのだから。千秋は廊下から高耶が隔離されている病室を見遣った。
自分が高耶に何かしてやれるとしたら、毎日、服用できる副作用のない蟲毒薬を完成させることだけだ。とは云っても、今の医学では、到底不可能だったが。
病室に一人残された高耶は、行為後のだるい体をベッドに横たえていた。
たった今、直江を受け入れたばかりの箇所が疼く。
これは、治療。直江は自分を好きで抱いているんじゃない。わかっているけど。──気がつけば、直江に抱かれながら、もっと滅茶苦茶にしてほしい、と密かに思っている自分がいる。
明日は霊浴療法の日。霊泉に浸かるとまるで感電したように全身が痺れて、死ぬほど苦しいけど、週に一度のその日は、直江が滅茶苦茶に抱いてくれる……こんなに淫乱な自分を知ったら、直江はどう思うだろうか。
こんな自分を知られたくない。
病の毒に侵されて、こんな体になってしまった今、自分には直江しかいないのに。
怖い──。
身じろぎした瞬間、直江が先ほど放った体液が其処からとろっと糸を引いて内腿を伝うのを感じた。
「………ッ」
高耶は手にした枕をぎゅっと抱きしめ、小さく震えるだけだった。
ふいに、それまで差し込んでいた陽射しが途絶え、病室内が薄暗くなった。
頭を巡らせ、窓の外に眼をやると、空は再びどんよりと曇り、いつものように白い霧が立ち込め、施設を覆いはじめていた。
Das ende...?
年明けそうそう、わけわかんないものをUPしちまいました;
なんか、病院ものが突然書きたくなったはいいんですが、書けば書くほどわかんなくなりまして;;;読まれた方は、よけいわけわかんないのではないかと…;;
つくづく、文章力のなさが身に染みます(__;
椎名にしてはえろくないし(笑)えろを期待してた皆様、ごめんなさい;
えろ、書いてはいるのですよ……そのうちね、えへへv
ちなみに明日の霊泉浴療法では、上杉会所有の霊泉でめくるめく解毒が……v 霊泉でビリビリ、直江のでえいえい!高耶さん失神!ですわv おほほほほv(崩壊!)書けたら、そのうちに…(^^;ではでは、読んで下さってありがとうございましたv
今年もどうぞよろしくお願いします(逃亡!)